「合理的無知」とサイエンスコミュニケーション

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「合理的に無知」

先週惜しくも終了してしまったブログ

 『MAJIBIJI世代のための政治リテラシー講座

の最終章で出てきた言葉。

有権者である私たちは、賢明な意思決定をするには充分ではない政治知識しか持ち合わせていない場合が大多数です。
4年に一度の衆議院議員選挙と3年に一度に半数を改選する参議院選挙のためだけに政治知識を溜め込む脳のスペースがあるのだったら、仕事や勉強や趣味やその他の自分に「直接的に」利益をもたらすものを記憶したり学んだりすることの方が合理的です。
ですから私たち有権者は「合理的に無知」になっているものなのです。
この無知状態、褒められることはないにしても、決して非難されるべきものではありません。


「第78回 さて、わたしたちはどうすべきか? まず、ここまでをまとめてみると…●いよいよ最終章!いままでのふりかえり」 より一部抜粋




もともとはアンソニー・ダウンズと言う人が著書『民主主義の経済理論』の中でふれた言葉らしい。

社会科学的な文脈から出てきた言葉のようではあるが、

サイエンスコミュニケーションが必要とされる科学技術の分野でもかなり共通した部分があるのではないかと思った。

地球温暖化を始めとした環境問題なような大きな事象もさることながら、例えば身近な携帯電話一つとっても、普段は自分に「直接的に」利益をもたらすものしか興味を持たない。

どのプランが安いかとか、どのデザインが良いとか、どれがつながり易いとか。
普通はそのくらいしか調べたり、学んだり、しない。

しかし、携帯電を取り巻く状況も政治的、技術的に各種問題を抱えている。

電磁波問題があったり。
(携帯で使われる)電波帯利用に関わる既得権益問題があったり。
いまや携帯でもアクセスできるインターネット上の住所であるIPアドレスが枯渇の危機であったり。

こうした問題は、直接的に被害が及ばなければ(及ぶと理解できなければ)、耳にも入らないし、入っても腑には落ちないだろう。

何の優先順位を上げるかはどのレベルで設定するべきか答えは見えないが、
差し迫った危機に対して、「合理的に無知」から脱出するには、

無知であることは非合理であると思う。状態をつくるか、

損得抜きに、オッと興味をもつ。状態をつくるか

どちらかになるのではないのだろうか?

前者がリテラシー教育。前者と後者を合わせてサイエンスコミュニケーションの活動領域になるのかな。

いずれにしろ、人々(専門家も市井の人々も双方)が「無知」ではなく「合理的無知」な行動をとることを前提に考えて、サイエンスコミュニケーションをしないと、カラ回り、すれ違い、押し付けに陥ることになりそうだ。

ちなににこの『MAJIBIJI世代のための政治リテラシー講座』は、
政治学博士の森川友義教授が自身の講義をブログ向けにまとめたもの。

「利己的な遺伝子」を前提として政治を見ることにより、より政治をリアルに感じ、身近なものととらえ、
読者が自分の頭で考えて「合理的無知」から脱却するよう促してくれる。

たまたま、若だんなat新宿さんの「若だんなの新宿通信」のブログ経由で、
ディスカヴァー・トゥエンティワン社の干場社長のブログを知り、
干場社長のブログから、このブログを知り、
昨年末より、主に会社の行き帰りに歩きながら携帯で閲覧していた。

政治に横たわる諸問題ひとつひとつにどうしろと明確な答えはないが、
随所にはいる数値を元にした判り易い解説は、
政治に対する「合理的無知」の怖さと、
主体的に政治に参加していく必要性を教えてくれる。

国の科学技術の方向性を決めるのも政治。
科学技術な方たちも、目を通しておいて損はないかと。

冒頭で触れたとおり残念ながら80回で終了してしまったが、講座の内容は干場社長のDISCOVERより5月には書籍化されるとのこと。

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「ブリッジマンの技術」 関心に関心を持つ
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.30 2009 サイエンスコミュニケーション comment0 trackback0

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