「科学技術と社会の相互作用」第2回シンポジウムに半分だけ参加してきた(備忘録)(追記あり)

科学技術と相互作用

JST社会技術研究開発センター 第2回シンポジウム
「科学技術と社会の相互作用」


先約があり参加を諦めていたが、雨で予定が流れたため(半分ラッキー)、
後半のパネルディスカッションだけ参加してきた。

科学的技術論理やELSI(エルシーと発音するみたい※)というキーワードで
不確実な要素に満ちた今日の社会的課題に対処できるのか?
及び、その手法、活用法について論壇者が話題提供とディスカッション。

※ELSI:Ethical, Legal and Social Issues「科学技術が及ぼす倫理的・法的・社会的課題」

生命科学技術、法廷、基礎研究。
それぞれの領域におけるELSIの話があった。
私にとってはどれも門外漢な分野。
それだけに、非常に興味深い内容だった。

議論の内容は後日正式にアップされる(多分RISTECのページ)そうだし、
サイエンスポータルにも一部載るっぽい。↓

 ”その後サイエンスポータルの取材依頼もあって,半分趣味・半分取材目的での参加となりました.”
 【イベントレポート】第2回シンポジウム「科学技術と社会の相互作用」(4/25)
 Science and Communication


<追記>報告書がアップされた。
 ・シンポジウム概要報告
 ・「社会」のなかの科学技術:不確実性・社会的責任・ELSI2009
 
なので気になった部分のみ備忘録代わりに。。

●林 真理 工学院大学工学部 教授
 「ELSIの歴史から学ぶ -<歯止めの論理>は超えられるか?-」
・ポストノーマルサイエンス
・問題構成の逆転
 科学技術を社会に展開する流れから、社会生活の中から科学技術を見るようになってきた。
・公共性の中の科学技術.
・layperson model「非専門家への科学技術知識の提供が目的」
citizenship model「非専門家の権利の保障が目的」
・全てを科学技術で解決する必要はないのでは?

市民のための科学技術といっても、そもそも「市民が中心にならなくてはならないのか?それは自己責任の過度な強調なのではないか?」の問いかけがあった。
 (結局これにたいする議論はなかったが)
さまざまなリテラシーが叫ばれている現代、確かに最低限と言いつつ、
市民が賢くならなくてはいけないって言う考えも専門家目線と言えなくもないと感じた。
ちなみに、林真理さんって、名前は良く見るけどお顔は拝見したことなかったので、
いままで女性(まりさん)だと思ってた。男性(まことさん)だったのね・・・

●中村多美子 リブラ法律事務所 弁護士
「不確実な科学的状況における司法判断の問題点」
・司法は結論から逃れらない。
・弁護士は勝つために戦う。協力する科学技術者は必ずしも不利なデータを提出する必要はない。
・法律家は自然科学的証明を「一点の猜疑も許されないもの」ととらえている。
・裁判官は被告弁護双方から提出される資料に対して、「どちらの科学的根拠が正しいか」ではなく、「どちらの科学者が正しいか」で判断している。
・法律家は「Knowledge of Science」ではなく、「Knowledge about Science」を学ぶべき
・法律家と科学技術はお互いの文化を知るべき。米国ではすでにその取り組みは始まっている。
・「法廷の究極のゴールは到達可能な正義の配分である」

本日一番響いた話。
不確定な科学技術をつかって、確実に結論をださなくて行けない司法の困難さを知った。
仮に法曹界の方が「Knowledge about Science」を学ぶことによって「到達可能な正義の配分」はなされるようになったとしても、今後は一般市民参加の裁判員制度が動き出す。やはり市民は「Knowledge about Science」リテラシーを学んでおく必要があるのかな。林さんの問いかけもあり整理つかないな。

●宮川 剛 藤田保健衛生大学総合医科学研究所 教授
「遺伝子・脳・行動 -ゲノム脳科学からみる不確実性-」
・マウスを使った遺伝子基礎研究の紹介。
・ゲノムの解析はほぼ確実にできるようになった。
・しかしその動きの解明は不確実。
・それは血液型と同様、「究極のうらない」だ。

ゲノム解析の進歩について知った。
設計図はかなり詳細にかつ簡単にわかるようになっているのに、各々部品の所作・性能は曖昧な状態。
こころの動きの傾向までわかる方がよいのか悪いのか。当事者になるならないで変わるところだな。

●藤垣裕子 領域アドバイザー/東京大学大学院総合文化研究科 准教授
「科学技術と社会的責任」(仮題)

・科学技術(者)の社会的責任。『科学コミュニケーション論(東京大学出版会)』13章を読んでね。
・「薬害エイズ」は過去事例(事件が起きた時点での科学技術では検証できなかった)
 「もんじゅ」は現在事例(現在時点での科学技術では検証できる)をそれぞれ適用。
 事例によって扱いが違う。→(民事と刑事・国と個人によっても違うのよ(by中村さん)
・事前警戒原則
・いまのところシステムでできること。
 「不確さが残っていても対応できる」
 「同時進行して科学的究明を続ける」
 「新知見が出てきたときの責任の分担」

「科学技術は絶対ではないから、コンセンサス取りながら慎重に勧める必要がある」
これは良く理解できるが、会場の原子力関連の研究者からの指摘にあった通り、
中小零細企業には時間をかけてコンセンサスを取っている余裕がない、
毎日が意思決定(大企業も同じではあるが)の時で、判断が遅れれば即廃業となりかねない。
研究者側も「不確実だから責任とれないよ。しっかり議論してね」だけではなく、
「同時進行して科学的究明を続ける」責務があるだろう。

●その他
レベルの違う視点かもしれないが気になること。
全般的に一般社会や大きな枠での社会システムと科学技術の関わりの研究は進んでいるが、
プレイヤーの一つであり泥臭い活動をしている企業と科学技術の関わりの研究はあまり見ない気がする。
研究結果を聞いて感心はしても、なんとなく違和感が残るのはこの辺があるのかな。


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.25 2009 サイエンスコミュニケーション comment2 trackback0

comment

K_Tachibana
前に中村多美子さんをお招きしてサイエンスカフェを行ったのですが,ここで私が感じたのは,いまのままで裁判員制度を開始しても早晩制度自体が崩壊するだろうな,ということでした.もしかすると,崩壊することを予見できているのに敢えて実行に移そうとしているのではないか,と.

それと,今回のポータルの取材は,シンポジウム全体の取材ではなく,ピンポイントにねらった発表者の発言を記事にするというものなので,林さんや中村さんの話は出てきません.中村さんの話は,サイエンスポータルのサイエンスカフェレポートをおよみいただけると今回のシンポジウムよりも多くの情報量がえられます.
2009.04.26 09:19
M322
> それと,今回のポータルの取材は,シンポジウム全体の取材ではなく,ピンポイントにねらった発表者の発言を記事にするというものなので,林さんや中村さんの話は出てきません.

そうでしたか。若干表現変えておきました。
レポート楽しみにしています。

>中村さんの話は,サイエンスポータルのサイエンスカフェレポートをおよみいただけると今回のシンポジウムよりも多くの情報量がえられます.

ありがとうございます。拝見しました。こうした訓練(体験)なしに司法の場に放り込まれてもとても人が人を裁く判断ができるとは思えませんね・・・

2009.04.28 13:51

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