自ら発信する自称奇特な研究者(追記あり)(訂正もあり)

Self_a.jpg

 SPARCJapanセミナー2009第1回
 「研究者は発信する-多様な情報手段を用い、
   社会への広がりを求めて」

に参加してきた。

案内によると、主催元のSPARCJapan(国際学術情報流通基盤整備事業)は
「日本の学協会等が刊行する学術雑誌の電子ジャーナルを支援・強化することによって、海外に流出する我が国の優れた研究成果を我が国の研究者自身の手に取り戻し、海外への研究成果発信の一層の普及を推進する事業」
らしい。

学会員でも研究員でもない私がなぜ聴講に行ったかというと。

二つある講演のうちの一つ

「だからセルフアーカイビングはやめられない!」
 NIMS 光材料センター 轟眞市主幹研究員

を聞いてみたかったから。
最近、研究成果(経過?)のWeb公開サポートな取組をしている中で、
研究員からリポジトリのシステム組込化の要望が出てたりしていて興味をもった。

轟氏は、自身の研究成果を論文紙に投稿するとともに、
オープンソースによって構築したセフルリポジトリシステムに登録し公開している。
また、YouTubeや日本語の一般雑誌にも積極的に寄稿している。

轟氏自身がマイナー分野と言う光ファイバの研究。
その発表内容が、ある日、ロシアの新聞に取り上げられたことをきっかけに招待講演の依頼が来て、
<訂正>ロシアの国際会議で採択された研究成果が日本のある新聞で報じられ、またロシアからは招待講演の依頼が来て、

その後、
一般紙に研究裏話掲載→YouTube公開→一般上に裏話寄稿→英訳公開→海外メディアで取り上げられる→一連の流れを整理して公開→海外メディアに取り上げられる→和訳を公開→日本で取り上げられる。

こんな形で、英語と日本語を行ったり来たりしながら発信続けていくうちに、国内外で轟氏が取り上げられるようになっていったようだ。

いまでこそ自身のHPを持つ研究者はたくさんいるし、メディアを通じた発信は珍しくはないが、轟氏は早い段階からYoutubeへの投稿やセフルリポジトリシステムを利用して発信をしていた。

特徴的なのは、業績となる英語の著名な論文紙への投稿にこだわらず<訂正>はもちろんのこと、
一般紙や、オープンソースコミュニティーへ寄稿。言語も英訳、和訳織り交ぜて発信しているところ。

良く考えてみれば、複数メディアへの発信はいまどきのブロガーやHPを持つ人なら内容は違えどやっているようなことではある。
それなのに色々なところで取り上げられたのは、それだけ学術界の情報発信先が偏っていて、かつ制度が硬直的なのだろう。
<訂正>こうした状況でもなお取り上げられたのは、情報発信先が偏っていて、かつ制度が硬直的な学術界の環境とセフルリポジトリシステムをベースにした多方面への発信行動の結果だろう。

(学術界としての)評価を得られない奇特なことをなぜやるかの問いに轟氏は、
「生き様みたいなもの」と飄々と答え、
「マイナーだが面白い研究を広く知らしめたい」
「敷居を低くすれば、意外なところから反響が拾える」
と前向きだ。

司会者の方の話によると
ずいぶん前から取り組んでいる国立情報学研究所や各大学が進める「機関リポジトリ-」はなかなか上手くいってないらしい。
様々な障害があるのだろうが、外側の人、利用させたい人が推進しているだけで、当事者である研究者がそもそもモチベーションがないのではないかな。

案外、轟氏のような気概をもった個人的な行動がボトムアップで広がって行く方がインターネット的で効果的なのかもしれない。

ちなみに和訳してリポジトリに突っ込んでおくと、日本の若い人の目に留まる率が上がるらしい。

轟氏の文献:セルフアーカイビングのすすめ ― かわいい著作には旅をさせよ

<追記>
なお、もう一人の登壇者、長神風二さんの講演も合わせて詳細なレポートを書かれている方がいた。

 >[図書館][エレクトリック]SPARC Japanセミナー2009 第1回「研究者は発信する:多様な情報手段を用い、社会への拡がりを求めて(かたつむりは電子図書館の夢をみるか)

min2-flyさん、大学図書館とか学術情報流通とかについて研究している大学院生の方らしいですが、いやすごい。他のエントリーも拝見しました。参考になります。

<追記2>
セミナー終了後に名刺交換させていただいたら、当ブログの発見とともに、丁寧な挨拶メールまでいただいた。恐縮です。
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.26 2009 サイエンスコミュニケーション comment2 trackback2

comment

私の講演を取り上げていただき有難うございました。

1点だけお書きになられた文章を修正させてください。
>ある日、ロシアの新聞に取り上げられたことをきっかけに招待講演の依頼が来て、
→ロシアの国際会議で採択された研究成果が日本のある新聞で報じられ、またロシアからは招待講演の依頼が来て、

配布資料内の新聞記事画像を抜いてしまったので、誤解を生じさせてしまいましたね。今後気をつけるべき点として心に留めさせていただきます。
重ねて有難うございました。
2009.06.26 22:11
M322
轟さん

間違え失礼しました。
ご指摘ありがとうございます。
修正しました。

また他の論文(日本語の・・)も拝見しました。
その上で言葉が足らなかったなと思ったところも併せて訂正してます。


2009.06.26 23:59

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「セレンディピティ」という言葉を教えて下さったセルフアーキビスト。 そのご本人よりまたまた著作の紹介をいただいた。  轟 眞市:`...

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