「第20回英国科学実験講座 クリスマスレクチャー2009」に行ってきた(追記あり)

クリスマスレクチャー2009

第20回英国科学実験講座 クリスマスレクチャー2009
に行ってきた。

このイベントは、イギリスで英国王立研究所が青少年向けに開催している科学実験講座「クリスマス・レクチャー」の日本版。

今年のテーマは『冒険!コンピューターの世界へ~コンピューターの仲を旅しよう

情報技術をどう伝えるか。
感動や発見の喜びをどう感じさせるのか。

興味津津で参加。

講師はエジンバラ大学のコンピューターサイエンス科教授であり、
マイクロソフト・リサーチの主席研究員でもある
クリストファー・ビショップ教授。

二日間に渡り、4つのレクチャーが実施された。

レクチャー1
 「スピードの限界を超える」
レクチャー2
 「機械の中のゴースト」
レクチャー3
 「ウェブをひも解く」
レクチャー4
 「デジタルの知能」

講演の様子は12月に「サイエンスチャンネル」で放送されるそうなのでそれぞれのレクチャーの説明は省略。

<追記>
 公開された。
 (23)冒険!コンピューターの世界へ! I スピードの限界を超える
 (24)冒険!コンピューターの世界へ! II 機械の中のゴースト
 (25)冒険!コンピューターの世界へ! III ウェブをひも解く
 (26)冒険!コンピューターの世界へ! IV デジタルの知能
<追記/>

レクチャーひとつ1時間。この1時間の中で、実験、体験を織り交ぜて一テーマを一気に解説する。
計算しつくされた(と思われる)スタッフの動き。
講演者だけでなく、訓練されたスタッフが効率的に動くことによって通常倍はかかりそうな講義時間がかなり短縮されている。子供達の集中力は一時間くらいが適当なのだろう。

情報技術を伝える際のテーマの選び方もさることながら、一連の流れ、組み立て方が非常に参考になった。
技術者が学ぶ手順(いわゆる情報処理試験のカリキュラムの順番)と、短時間で観衆を惹きつけるサイエンスショーの説明手順は違うということを知れたのが大きな収穫。
なんだかサイエンスコミュニケーションで考えれば当たり前のことだけど、自分の専門分野だと不思議と気づいてなかったなと反省。
また理解し辛い数学理論は、逆手にとってゲーム感覚で解析する楽しみに変えてしまうのも手なのだなと感心。
青少年向けノウハウをそのまま研究機関サポートや技術展示へ使うことはできないけれど、今後の参考にしていきたい。

気になった点、参考になったをザーっと。

●全体
・コンピュータの原理だけでなく、現在の技術水準に至るまでの経緯も説明。
・派手なモックアップを多用。
・スライド、手元画像をうまく組み合わせて解説の補助。
・必ずしも原理に忠実な表現にこだわらず、思い切ってデフォルメ。
・専門用語は極力使わない。
・逆に、専門用語を使う場合は無理に説明しない。さらっと使用。
・観客を取り込んだ実験を多用。
・2進数での表現方法をマジックの要領で実演と種明かしで説明。
・2進数のメリットを観客参加型のゲーム形式で表現。
・想像しづらい大きな数値は紙に書いてそのまま何ケタも書いて大きさを可視化。
・コンピュータができることだけではなく、苦手なことも説明。
・そして今後何を解決していくか、解決していけばよいかを問いかけて興味を煽る。

●個別
・処理能力の速さをセルロースが燃える瞬間のスピードで表現。
・2進数の世界を派手なモックアップで説明。
 ・2年毎に二倍になる「ムーアの法則を数値でなく、ピンポン玉の装置で可視化。
  一つのピンポン玉が他のピンポン玉にあたると二つのピンポン玉が飛び出す、
 二つのピンポン玉から今度は二つのピンポン玉が飛び出す。あっという間に
 箱の中のピンポン玉が一斉に飛び上がり、指数倍に増えることのスピードを
 体感できる。
・電圧を色水を使った装置をつかって水圧で表現。
・半導体の仕組みをモックアップを使って表現。
・トランジスタの小型化がなぜコンピュータの性能アップにつながるのか、
 水流で説明。流れる距離が短くなればそれだけ早くなる。
・なぜシリコンウェハー上にあれだけ細かい回路を載せられるのか、
 米粒に字を縮小映写する形で表現。
・観客一人ひとりを一ビットとして立ったり座ったりさせて熱を発生させ、
 動作中のCPUがなぜ熱を持つのかを表現。
・実物のパソコンのハードウエアを剥き出しにしてCPUの熱で卵を焼く
 パフォーマンスでCUPの熱放射を表現。
・アイスクリームの作り方の手順(レシピ)をつかってアルゴリズムを説明。
・ネットワークの解説では、通信技術の説明の前に動作するアプリケーションの方を説明。
 (ウェブ→暗号化→ネットワーク理論(輻輳のメカニズム)→パケット通信)
・暗号化に用いる「一方向関数」の逆関数の計算の難しさを色水を使って説明。
 (色水を混ぜるのは簡単だが、元に戻すのは難しい)

●残念だった点
・何度か量子コンピュータのついて触れるシーンがあったが、重畳現象の説明及び、
 重畳現象によってコンピュータの性能が飛躍的に向上することは理解しづらかった。
 やはり短時間では無理と思われる。
・超電導とコンピュータのつながりの説明がいつのまにか、単なる超伝導の実験に
 なっていた。
 (科学未来館でよくやっている、冷やされた超伝導体パットが浮いて回るやつ)
・良くも悪くもサイエンスショー部分が強い。派手なパフォーマンス(爆発や閃光)で
 説明が終わってしまう部分が多々ある。オーと感心はしても後に残らない。

関連ニュース
http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/08/01/christmaslecture1/index.html


http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/08/03/christmaslecture2/index.html

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