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ICPFシンポジウム『日本の情報通信政策:電子政府に関する動向』に行ってきた。

役所

2001年に内閣に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(通称IT戦略本部)が設置されてから、電子政府に関わる施策は幾度となく展開されてきた。システムはそれなりに導入されてきたが、いまだにユーザとしての利便性は感じられないし、バックオフィス側の電子化もほとんど進んでいないと聞く。

本日のシンポジウムではこうした電子政府・電子自治体に対して、各方面(政府、学術会、経済会、技術、自治体、一般ユーザ)の有識者が”私も一言”と思うところを発表した。

詳細レポートは後日アップされるであろうICPFの公式サイトに期待して、
気になった点を忘れないうちにザーと。

●i-Japan戦略2015と電子政府・電子自治体(吉田内閣官房)
・本ブログでも何度も取り上げているi-Japan戦略2015の解説。目新しいところは無し。

→ただ改めてみたら、政府CIOの設置はあくまで電子政府推進体制の整備のためであって、他の三大重点分野の「医療・健康」「教育・人材」の枠の中には入っていない。国全体のIT戦略なのだから、トータルで掌握できるポジションもってこなくては意味がないのではないのかな。ネットワークはすべてにつながっているのだから。

●利用者本位への転換:電子政府ユーザビリティガイドライン(山田肇、東洋大学)
・内閣官房の主導によって山田氏が責任者として進めた電子政府システムのユーザビリティ向上のためのガイドラインの解説。
・情報アクセシビリティによって障害者も高齢者も子供女性も誰もが参加できる社会ITがつくる全員参加社会(を目指す山田氏の熱い思いが語られた。
・本ガイドラインはシステムの共通設計を示すだけのものではなく、各省庁及び自治体がユーザビリティを向上するためのPDCAサイクルをどうやってまわしていくかのガイドラインでもある。
・重点手続きとして71手続きをピックアップ。確定申告のような一般市民が行う手続きだけでなく、企業担当者が実施する、各種申請手続きも含む。

→前述のPDCAサイクルを回す為のユーザビリティの専門家が必要になってくることが予想される。
 ※これについてはここで触れられていた。

●私も一言「外国はもっと進んでいる」(松本泰、セコム)
・エストニアの電子政府の事例を紹介。
・サービス利用者を中心に、行政のバックオフィスが連携されていく。
・フロントオフィスと、バックオフィス双方のデータ連携がされ、ワンストップサービスが展開されている。
・日本で言うところの国民総背番号が全面導入(強制)されている。驚きだったのが、背番号は全て公開されているということ。日本では番号の漏えいや悪用面ばかりがクローズアップされて導入がおくれているが、そもそも公開されてしまっていれば漏えいの心配がない。
・そのため、民間のサービスもこの番号が利用できる。
・SIMカードに番号を記録して、携帯で認証が可能。

→なんだかとてもシンプルに構築されていてよさそうだが、リスクや穴の解説がなかったのでもやもや感が残る。

●私も一言「抜本的業務見直しが必要」(井上隆、日本経済団体連合会)
・経団連からの電子政府への提言。
・企業活動を円滑にするために、電子政府きちんとやってよね。と聞こえた。
・そもそも電子政府にすることにたいして役人のインセンティブはないのだから、法令化して強制的にやったほうが良いのではないのかと提案。

→しかし、経団連は電子政府にあまり期待していないように聞こえた。

●私も一言「利用者教育の充実を」(近藤則子、老テク研究会)
・気になっていた老テク研究会。電子化進めるなら、ユーザ教育もきちんとやってほしいと提言。
・既にボランティアベースで3000人くらいに向けてPC教室(オンライン申請の使い方)を開催。
・PC教室の受講生の感想を紹介。電子化といえども、「困った時に、人が支援してくれるサービスが欲しい」とのこと。

→なるほど高度になればなるほどデジタル機器初心者の「人による支援」は重要になってくるだろう。
→また、個人による各種申請自体は年に何度あるわけではないし、それほど金をかけてやる必要性も感じてなかったのだが、介護(する方)で一歩たりとも家を出れない人にとっては、自宅のPCから申請できるネット社会は非常に助かるものだということを聞き、自分の考えの浅さに反省。

●私も一言「データ連携の促進を」(須藤修、東京大学)
・電子政府や医療システムその他各種システムのデータ連携の研究を長年してきた立場から、データ連携の必要性と立ち遅れた日本の改善方法について解説。
・中国4万、米国2万3千、ロシア4万、諸外国にはサイバー軍が配置されていて、いまや有事にはまずこのサイバー軍が動き出し、敵国の金融システムや航空管制を麻痺させる。
・そんな状況化で政府のシステムすら統合・掌握できていない日本のシステムは非常に危険。
・国民総背番号制の早期導入を図るとともに、信頼性の強化も進める。個人がアクセス履歴含めた自分の情報を常に参照できるようにする仕組みにすることが肝要。
・現状の医療オンライン化は病院関係者にとってはまったくメリットがない。電子化を進めるには企業にもインセンティブが感じられる施策にする必要があり。

●私も一言「電子自治体の可能性」(土屋光秋、甲府市)
・電子自治体を強力に進めてきた甲府市の事例を紹介。
・企業間取引ベースのIT契約を自治体へ持ち込んだ事例。
・SLAや包括契約など目新しい話ではないが、役所の方の発言としては異例。

→ある意味、大手ソフトウェアベンダーとしてはやりにくい相手。システム開発をよく理解しているという意味で。
→ただ、10年の長期計画でコストを下げるやり方はいただけない。いくらカスタマイズは別契約にするとはいえ、ITシステムを10年使い続けるリスクは自治体にとっても、保守するベンダーにとっても良い結果はうまないだろう。

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2009/08/09 02:10 | 情報・通信COMMENT(1)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

10年のわけ

10年間同じシステム。
おっしゃるとおり、10年は長く見えると思います。

しかし、一方では自治体の基幹業務システムにおいて4年や5年程度でシステムを入れ替えている実態はほとんどありません。
あったとしても、不具合が多すぎて、刷新せざるを得ないような場合や合併等の他の要因によるものでしょう。
どうしてこんな事になるのかといえば、まずは、基幹業務システムの構築が非常に大変だからです。期間としては2年から3年は要しますし、各制度の実業務を担当する部署から見れば、余計な負担に感じられる面もあります。
仮に構築に2年掛けた場合、稼働して数年で安定したと思ったら、3年目には新システムの発注仕様の策定を始め、業者選定をしなければなりません。そうして4年目と5年目が新システムの構築期間になるのです。5年間の実に6割近くが、システム更新に割かれることになってしまいます。大抵の場合、1年目は安定稼働に向けて緊張を強いられるので、「おいしいところ」はわずか1年ということになります。

また、構築経費が多額に上がるという面もあります。5年たって更新することを検討するときの選択肢は、再構築するか、ハードやミドル等を更新しアプリは継続(随意契約)するかに絞られます。(その際、継続した方が見た目安く見えるのです。)

しかし、前述の理由もあり、大抵の場合アプリは使い続ける随意家役での更新をする事になります。それでもう10年です。
実際には10年どころでなく15年、20年を随意契約でつなげてきている自治体も少なくありません。

また、甲府市の包括契約では原則的に法令改正などに伴う制度改正をシステム反映させる「法制度改正対応」は当初契約の範囲としています。
さらに、システムを刷新するに当たって、実にバカバカしいことですが、データ移行を既存事業者に依頼するに当たって、見積もりを頂くと、足元を見ているのか、手切れ金につもりなのか、法外な金額を提示されることがあります。結構聞きます。
このデー移行のうち既存システム関する「データ出力」について、データ仕様、出力作業、新事業者との所要の協議については、当初契約において実施義務事項としています。

10年という長きにわたり運用していく事業ですが、現実を見据えた解決策として検討してきた結果です。

これは10年という期間が問題なのではなく、適切なPDCAを回すことが出来、TCOを踏まえて契約形態で、可能な限り適切な投資効果を得るための期間設定というもので、短すぎると不可能になるということでの結論でした。
さりとて、長ければ良いというものでもないと思います。
一つのスキームとマネジメントルールで、投資効果を生み出せる期間として10年を設定したものです。

今後とも、よろしくお願いします。

No:102 2009/09/07 17:30 | 土屋@甲府市 #2hxD5myk URL [ 編集 ]

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