「役に立つことを主張するネットワーク研究の危険性」

internet1.jpg

『役に立つことを主張するネットワーク研究は危険』

先日出席したある情報通信フォーラムでの座長の言葉。

今まさに行政刷新会議では事業仕訳作業中。
そんなタイミングでの刺激的な発言。

本フォーラムは
『Clean Slate(白紙から)』をキーワードに、
未来の情報通信技術を生みだすための官民連合のフォーラム。

次世代ではなく、新世代。
20年、50年後のネットワークを考えるフォーラム。

数十年後とは言っても進める以上は金がかかる。
税金もしくは電波利用料を原資とした研究が多数を占めるわけで、
研究成果としてなんらかのアウトプットが求められる。

それは今日の刷新会議をみても明らかだ。

 >行政刷新会議 3日目 第一WG 午後の部 総務省

そうして「安心・安全」「グリーンIT」あたりのキーワードを絡めた
なんとなく今も役立ちそうな、テーマが作りだされ、
結局インターネット技術に屋上屋を重ねるだけの研究が多くを占めているのが現状。

座長はここに警笛をならした。

国の研究計画では現在の社会問題を解決するという説明が求められる。
例えば、介護ロボットや防災、研究医療、省資源、などなど。

しかし、個別の研究毎に役に立つことを主張すると、その目的を満足すれば良しということになる。
狭い目的で役に立ったシステムは寿命も短くなる。

ネットワーク研究はこれらを含めてすべての問題解決の共通の基本になるべきであり、
個々の解決ごとにネットワークを主張すれば、ネットワークの基礎となる汎用性の実現の
阻害要因になる。

決して実需を求めないといっている訳ではなくて、
上記の危険性を鑑みて

 『ネットワーク研究では現在の個々社会問題に解決に役に立っても意味はない』

と言っている。

想定している時間軸が違うのだろう。

確かにインターネットも研究初期には需要はほとんどなかった。
長い時間をかけて実需が追いつき技術者が改良を重ねここまでブレイクした。
新しいネットワークを創りだすにはこうした時間軸も必要。

問題は結果がすぐに見えない長いスパン研究をどうやって続けるか。
(ちなみに本講演でこの問題に対しての言及はなかった。)

私自身、研究開発支援業の一環として
研究成果の見せる化・魅せる化を考えたりしているが、
何に役立つかのすら見えない“飛んだ研究”に理解を求め、評価をつけるのに何が効果的なのか解はない。


研究者が集まって訴えればどうにかなるか?といえばそれは疑問だし・・・


そんな中、本日の事業仕訳会議を見ていたら

日本科学未来館の毛利さんが

 『世界で最高のものをめざしている。将来への投資だ』

と言いきった。

ここに数値的は根拠はない。
分野は違えど”みえない”成果に対して
実績と信念が将来を”みせて”いた。


短期的な”役に立つ”こと以外の説明・説得。

今後はますます必要になっていく。

情報通信分野ではプレイヤーでもあり応援者でもある。
そこで自分が何ができるのか。
まだまだこれから。




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.13 2009 情報・通信 comment2 trackback1

comment

「TAK」さん
今、研究者が直面しているテーマですね

私のブログ
http://blog.livedoor.jp/stakeid/archives/51273984.html
に書きましたが、


”みえない”成果に対して実績と信念


をベースに、予算をつけて、研究を進めやすくする、査定者を味方にする

「大義名分」

も必要かな、と思います
2009.11.14 06:49
kasa
返事遅くなりました。

若手を中心とした研究者は
 「この研究って、おもしろいんじゃない?」
と思える研究に邁進して、

査定者を味方にする
「大義名分」
はリーダなり組織なりがぶちあげてサポートしていく。

役割分担が必要かなと。
2009.11.29 11:04

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