『未来世紀ジャパン』20年前の日本が見た未来

未来世紀ジャパン

未来世紀ジャパン―ハイテクノロジーの明日が見える

2か月ほど前に行った「三菱みなとみらい技術館」の図書コーナーでたまたま見つけた本。
ゆっくり読んでみたいと思ったものの、地元の図書館の蔵書にもなく、Amazonの中古本で手に入れた。
(そして積読書となっていた・・・)

先日のDIS+COVERサイエンス創刊発表イベントの北澤氏の研究開発の経済史を拝見し、ふと思い出し読んでみた。

刊行は1989年9月。今からちょうど20年前のバブル崩壊前夜。
ジャパンマネーが世界を席巻し、日米貿易摩擦まっただ中。
米国と日本の技術競争が経済摩擦の大きな要因となっていた時代。


21世紀の科学技術がどこに向かうのか?
当時の技術の最先端にいる人々をとりあげ、彼らの証言から日本の未来を構想しようと試みている。
若き日の坂村教授(当時助教授)の始まったばかりのTRONプロジェクト、
電子の芸術として期待されるコンピューター・グラフィック、
職人芸を肩代わりするファジーコンピュータ、
などIT系研究。

オゾンホールが見つかったばかりの地球温暖化対策研究。

サテライトオフィスや脳科学、電脳株価予想など今につながる研究も多く紹介されている。

こうした未来への研究の紹介を通じて
国家の経済発展の重要なファクターは科学技術の進歩と位置付け、
そのコンセンサスを得るために、科学技術と科学技術の行く先を広く国民に広めることが大事であると説く。


プロローグにはこう書かれている。

そして科学技術の創造は、止めようのない流れとなっている。企業も国家も科学技術を軽視しれば没落しかない。付加価値の高い技術力によって経済が成長し、国際社会の中での地位を決定する。(略)
たしかに科学技術は使い方で人間を苦しめることがある。原子力、遺伝子操作、臓器移植、兵器……。市民、政府、国家、国家機関などあらゆるレベルで利用方法を考え、科学技術に対するコンセンサスつくりがますます重要になってきた。科学技術に今後、何を期待するのか、一人ひとりが回答を得るためにも、あらゆる科学技術をもっと知らなければならない時代なのである。(略)
サラリーマン、商人、それに主婦も若者も、そして専門領域に閉じこもりがちな技術者も科学技術の全体像や流れに、それぞれ自分自身のイメージを持たねばならないだろう。(略)
科学技術と人間の関わり合いは新しい段階を迎えているのである。(一部抜粋)


当時の執筆者が事業仕分けの現状をみたらどう思うだろうか。

結局のところ今の研究がいつからどのくらい役に立つかどうかは将来の結果としてしかわからない。
実際、本書にでてくる技術も全ていまに役だっているかというと疑問なものもある。
ただ過去から積み上げてきた研究は、確実に現在の我々の生活を豊かにし経済成長のドライブとなっている。

こうした事例をつかって一つ一つ国民の科学技術研究への理解を求めていくことも一つの手ではあろう。

(ただ、科学技術が大事、研究開発は重要と訴えても、具体的なイメージがつかめなければなかなか響かない)


また本書では当時の政治動向にも触れられていて、

日米通信摩擦でアメリカのヒルズ通商と渡り合った日本の政府特使が小沢一郎氏だったり、
いま話題のスーパーコンピュータ技術が、リクルート事件幕占めのキーになっていたりと
今日に政治につながる出来事がでてくるところも興味深い。


偶然かどうか、本の中にしおり代わりに新聞のスクラップが挟んであった。
日付がないので正確な日はわからないが、リクルート事件の翌年のようだ。
その見出しは

「今の政治に不満」65%

いつの時代も同じなのかな?

newspaper.jpg




以下は目次。
----------------------------------
はじめに
プロローグ
第一章 両刃の剣
1 人工知能-船長が海から消える日
2 万人の召使-主人公はだれだ!?
3 マリーン・エキスプレス-海面下20メートルの超電導走行
4 夢の設計-水面飛行機よ飛べ
第二章 人間の可能性を広げる技術
1 物をつくる自由-誰でも芸術家
2 1/fのゆらぎ-感性が科学になる
3 電子の芸術-コンピューター・グラフィックス
4 ファジィ・コンピューター-職人芸も肩代わり
第三章 健康のための模索
1 死からの自由-健康管理技術の先端
2 電気の麻薬-脳と意識のコントロールを目指して
3 催眠ロボット-病に未知の力
4 強化食品-噛めない子、なくなれ
第四章 飢えからの自由
1 地球温暖化との闘い-寒天の危機を救え
2 養殖漁業-魚を創る
3 無人野菜工場-安定供給への道
4 FT牛-受精卵移植の可能性
5 生存と技術-潜む悪魔の顔
第五章 住まう
1 家で働く-豊かさのエンジョイは住から
2 電脳住宅-王様の暮らし
3 サテライト・オフィス-人間性の回復
4 地球庵-縄文の心で住む
5 かおり革命-「油土」が「じゃ香」に
第六章 人、ひと
1 都心に冬を創る-真夏の高層ビルゲレンデ
2 CAI-先生はコンピューター
3 株価予想-コンピューター相場師
4 核融合-月に夢をはせる
エピローグ
あとがき
付・未来技術年表
----------------------------------

関連エントリー
科学技術で日本に夢を(DIS+COVERサイエンスシリーズ)(追記あり)
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