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これからの社会に必要な「まなざし」とは(SEMSaTショートコース受講記)

SEMSaT修了証

SEMSaTショートコース 社会変革を伴う新しい経営視点とは』に参加してきた。

SEMSaTは東北大学大学環境科学研究科が開講している「高度環境制作・技術マネジメント人材養成ユニット」

今回の講義はこのユニットのエッセンスを凝縮した体験教室のようなもの。

参加したのは講師である東北大学の石田秀輝教授の講義を拝聴したかったから。

受講記をまとめておく。

石田秀輝教授は『自然に学ぶ粋なテクノロジー なぜカタツムリの殻は汚れないのか (DOJIN選書22)』の著者。
以前、SciencePortal 科学のおすすめ本コーナーに書評を寄稿させていただいた。

2年ほど前のSEMSaTセミナーでたまたま教授の存在を知った。
国立科学博物館サイエンスコミュニケーター養成講座の実践演習の担当として指導していただいた先生が登壇されたセミナーに、ファシリテーターとして参加されていた。

石田教授の説く教えに共感を覚えた。

 「人間というものは一度得た快適性・利便性を捨てられない、大事なのは「生活価値の不加逆性」を認めて、その欲の構造について、物欲から精神欲にどうやって変えていくのか、すなわちテクノロジーの中に精神性をどう織り込んで行くかが重要である」

今回のショートコースでは上記の視点をもとに、これからの社会に必要な「まなざし」とは何かについて、
地球環境問題、企業活動、ライフスタイルの面からお話いただいた。


概要は以下。


人にとっての地球環境問題には7つのリスクがある。
「資源」「エネルギー」「生物多様性」「食糧」「人口」「気候変動」「水」
これらリスクは相関関係にある。いままでは最もトレードオフが少なくなる方法を探してきた。

しかしながら、人間活動の肥大化によりリスクの総量自体が増大してしまっている。
『エコロジカルフットプリント(生命維持自然資本供給-需給バランス指標)』の需給バランスはあと数年でオーバーショートを迎えることが予想される。
「自然所得(我々の生活に必要な自然界によるサービス)」が「自然資本(自然所得を継続的に生み出す自然界のストック)」を越えてしまうのである。

「生活者(consumer)」「技術(Technology)」「システム(System)」
いままで人間は生活を向上させるために、技術開発を繰り返してきた。
このサイクルを正しく機能させるために、システムが存在し、法的規制や政策的な誘導を行っている。
これらは無限の地球資源・エネルギーがあることを前提としており、すでに限界がきている。
もはや使用する総量を減らす以外の道はない。

また、人間には「生活価値の不加逆性」がある。

以下はライフハザードマップといって4人家族を想定し、利用している中で捨てられない物を選んだものと、その環境負荷(C02排出量)を表した図。
ライフスタイルハザードマップ
※講義で使われていた資料と同様な図がネットに落ちていたので抜粋。(http://www.pref.miyagi.jp/sigen/kurokawa/forum_kekka/monotukuri.pdf)

ピンクの○は、給与が半分になったらどうするかと言う質問の結果を反映している。
図をみてわかるとおり、給与が半分になってもほとんどプロット位置は変わらない。
つまり、生活者による我慢節約程度ではライフハザードマップは変化しない。
このことからも今のライフスタイルの延長では解決は難しい。

消費する総量を減らす「循環型社会の構築」
生活価値の不可逆性を肯定した「ものつくり・くらしかた」
を合わせた、あたらしい解決先が必要。

循環型社会の対応技術として自然にヒントを求める。
石田教授は「自然をノックする」と表現する。

自然は38億年の間持続発展する社会を創ってきた。
完璧な循環を最も小さなエネルギーで駆動させる。
自然は倫理観を持つ知能である。

具体的事例は先に紹介した書籍のほか、ここにまとまっている。

 『ネイチャーテック すごい自然のショールーム

生活価値の不可逆性を肯定した「ものつくり・くらしかた」は江戸時代にヒントを求める。

イギリスより150年早くテクノロジーを庶民化した日本。
日本には昔から自然を理解する独特な概念がある。
欧米の自然を支配する自然観に対して、自然と和合し地球に負荷をかけることなく精いっぱいいきることを楽しむ自然観。日本人はそれを江戸時代に「粋」という形で一つの文化としてつくりだしている。
我慢するのではなく、生きることを楽しみ、ワクワクドキドキしながら心豊かに暮らすことができる文明創出に必要な、あらたなテクノロジー観をつくること。
ここにあたらしい解決先を求める。

いま企業に求められるのはこうした新しい解決策にもとづいたシステム開発。

いまの社会の諸問題に対する解決策をつみあげるのではなく、
将来あるべき(なりたい)姿を想像し、その制約因子をみつけ、
解決策を考え出す。

そのために『バックキャスティング』という手法を使う。

バックキャスティングについてはこちらが参考になる。

 「バックキャスティングとは何か

ただ、このバックキャステングはそう簡単なことではない。

想像力と知識の欠如、思いこみからどうしても今の延長線上から抜けきれない。
フォアキャステングな解決策になってしまう。

SEMSaT本講では、バックキャスティングする素養をみにつけるために「環境学」「経営学」「イノベーション学」などなど各種講義が用意されているようだ。


第2部では、未来のライフスタイルデザインをバックキャスティングで実際に考えてみるワークショップを行なった。
SEMSaTショートコース20091214

本講の講師でもある古川柳蔵氏から、環境問題を解決に導くソリューションについて講義(なぜソリューションを考えるのが難しいのか、ソリューション創出方法、バックキャステングのケーススタディ)を受けたあと、実際に2030年の社会状況を推測し、未来のライフスタイルについてグループディスカッションを行った。

・なぜソリューションを考えるのが難しいのか。
 1.部分的な問題を取り上げてしまう。
 2.現在の延長を先に考えてしまう。
 3.ネガティブに考えてしまう。
 4.環境負荷の削減ばかり考えてしまう。

・ソリューション創出方法
 ・本質的な問題を発見する
 ・見方を変える
 ・デザインを変える。
 ・ライフススタイルを変える
 ・自然から学ぶ
 ・自然を利用する
 ・環境負荷を下げる
 ・付加価値を高める
 ・環境技術イノベーションを促進する
 ・先人から学ぶ

事前にこのような講義を受けたにもかかわらず、実際にやってみるといつのまにか「現在の延長を先に考えてしまう」状態になる。

ワークショップの総括で石田教授が指摘した点もまた興味深い。

 循環型社会、サステナビリティなライフスタイルをデザインするとき、
 地産地消で半農半Xなど、一次産業を生活に取り込む考えはすぐ思いつくが、
 二次産業をどうするかまで想像が及ばない。
 この二次産業を含めて地産地消に取り込む方法を考えるのも良い。

確かに、三次四次産業は身近だし、一次産業は想像し易い。
それと比較して二次産業は生活エリアから切り離されがち。
実際富を産み出す二次産業を意識していくことも大切であろう。



石田教授が提唱するサステナビリティデザインは
夢のような話のようで実は非常に現実的。
ただ、エコエコと喧伝するやり方とは一線をかしている。
機会があればSEMSaTをきちんと受講してみたい。



いずれにしろバックキャステングな考え方は、環境問題だけでなく、ありとあらゆる問題解決に使えそうだ。
これからの社会に必要な”まなざし”を持つために、必要なスキル。


なお、今月SEMSaTのセミナーが開催されるそうだ。石田氏はモデレータとして参加。

 第8回SEMSaTセミナー
 日時:2010年1月20日(水)18時30分~20時30分(開場18時15分)
 場所:求道会館
 テーマ:お金から考える地球環境問題
 ゲスト:吉澤保幸氏
 URL:http://www.semsat.jp/news/8semsat.php

 
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2010/01/02 03:18 | イベント・セミナーCOMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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