「情報学のロードマップ」なんて描けません。なんて・・・ 第3回情報学シンポジウム

roadmap.jpg

日本学術会議情報学委員会主催の
第3回情報学シンポジウムに行ってきた。

今回のテーマは「情報分野のロードマップ」

 >日本学術会議 情報学委員会 第3回情報学シンポジウムプログラムのお知らせ

プログラムをみると
前半はゲストによる世界的な潮流。
後半は委員会の各分科会がそれぞれ30年後のロードマップを示してパネル討論。

技術トレンドの把握目的で参加。

が、

招待講演のIBM久世氏の企業ロードマップ以外はちと期待外れ。

久世氏の講演内容は”kameichi”さんのレポートを参照。

 >情報学シンポジウム「情報分野のロードマップ」(亀屋一年堂)

他は、全般的にこんな感じ
 ・30年後のロードマップなんて描けないよね。
 ・技術のスピードに社会制度が追いついてこないよね。
 ・学会から産業界の人が離れていくのだよね。
 ・情報学に若者が興味を示さないのだよね。
 ・詳しくは来週の情報処理学会全国大会でね。


昨年に比べて各分科会の発表時間が短くなったせいもあるだろう。
午後の各分科会の報告は一人5分。
通常であれば基調講演をする立場にある学会の重鎮の方たちにはライトニングトークは向かないのかもしれない。
なんだかネガティブな話をしただけで終わってしまった。

ちなみに昨年のシンポジウムはこちら

 >礎としての情報学

それにしても残念だったのは30年先のロードマップがまともに出てこなかったこと。
(正確に言えばみなさん絵にはしてきたが、本人がおっしゃる通りかなりやっつけの印象)

もちろんドックイヤーともマウスイヤー(本日はバクテリアイヤーなる言葉も出た)とも言われる情報分野では、半年後にどうなっているかなんて予測もつかないといえばつかない。まして30年後なんてなおさら。

でも研究者(特に研究リーダ)としてどうありたいか、どこを目指しているのかを、産業人としては聞いてみたかった。

先日開かれた「Web学会」を始めとしたソーシャルサービス系の動きとはかなりの温度差を感じた。



また、情報や通信分野の学会における産業人の参加が激減しているらしい。
詳細は聞けなかったが、減っているのは恐らく大手の企業研究者ではないだろうか、

近々に役に立つ研究をするなら大手は自社のR&D部門でなんとかするしその方がスピードもある。
コストのかかる学会活動は控えるだろう。
もし、産業界寄りの研究を進めるのであれば、取り込むべきはリサーチ部門を持てない中小零細企業。
しかしながら、情報分野の多くの中小零細企業は大手の二次請け三次請け。
日々喰うことに撲殺されて、そもそも学術界と組んでなんて発想もほとんどないのが現状。

こうした状況下で、産業界とのつながりをどこに求めているのかが見えて来ない。


昨年末の事業仕分けを機に、ますます微妙な立場に立たれているレガシーな学術会の方々。
各方面からの厳しい視線に振り回されて気の毒な面もある。


ただ今の感じでは、産業界の為でもなく、未来の研究を推し進めるでもなく、
中途半端な立ち位置のまま尻すぼみになっていってしまうのではないだろうか。

先日触れたこの件のように

 >「役に立つことを主張するネットワーク研究の危険性」

学術界は独自の時間軸を持って動いてこそ。産業界は注目するし、次代の子供たちも希望を持つ。


タックスペイヤーや、連携をとる企業側の態度を改める必要もあるだろし、
官には学術界と産業界の特性を踏まえた政策を望む。


なんだかまとまらないが・・・


ビジネスにつなげるのは我々産業人の役割。
学術研究者は人々を”うならせる研究”をして”ワクワク”させてほしい。

例えばこんな

 >鳴り止まぬ拍手。石井裕MIT教授・メディアラボ副所長講演
 >「うならせる研究」 でアウトリーチ

ワクワクするからこそ研究開発サービス業として応援したくなる。

こうした考えはこのご時世甘いだろうか。

来週の情報処理学会全国大会ではワクワクした話が聞けることを望む。


<追記>
 これだけだとロードマップ以外何も話されなかったような感じを受けてしまうが・・ 
 各分科会の活動も短いなりに紹介されていた。

 再度kameichiさんのレポートから

 >情報学シンポジウム「情報分野のロードマップ」(その2)(亀屋一年堂)

 この辺の話の詳細も情報処理学会全国大会で聞けるだろう。

<追記/>

関連エントリー
情報通信系イベント案内2010年3月(備忘録)
『未来世紀ジャパン』20年前の日本が見た未来
科学技術で日本に夢を(DIS+COVERサイエンスシリーズ)(追記あり)
「役に立つことを主張するネットワーク研究の危険性」
鳴り止まぬ拍手。石井裕MIT教授・メディアラボ副所長講演
礎としての情報学
「うならせる研究」 でアウトリーチ

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2010/03/07 02:03 | 情報・通信COMMENT(4)TRACKBACK(0)  TOP

コメント

出来ないからこない

未来を描けない学者の元に産業界も来ないということではないでしょうか?

産業界は研究に投資するにも、事業の新展開に資するか、遠い未来の新事業に資するかしか考えられない状態にあるようです。

描けないで済むならば、学者はいらないという気もしますが。

No:115 2010/03/07 09:26 | 若だんなat新宿 #- URL [ 編集 ]

Re: 出来ないからこない

> 未来を描けない学者の元に産業界も来ないということではないでしょうか?
>

ビジョンですね。

MITの石井教授はたとえ自分が亡くなっても、ビジョンは生き続けるようなことをおっしゃっていました。

”社会も技術も今どこにいて、どこに向かっているのかわかりにくい、台風の中にいるようなものです。しかし、人工衛星の視点から見ればどうでしょう。揺れ動く船の上で波に翻弄されていても、遠くに見える富士山は動いてません。それがビジョンの力です。”(石井裕氏 日経夕刊)”

No:116 2010/03/08 00:35 | M322 #- URL [ 編集 ]

30年のロードマップを語る資格?

はじめまして、こんにちわ。kameichiと申します。つたない内容の当ブログへのリンク、TB、ありがとうございました。

> それにしても残念だったのは30年先のロードマップがまともに出てこなかったこと。
>(正確に言えばみなさん絵にはしてきたが、本人がおっしゃる通りかなりやっつけの印象)
>
>もちろんドックイヤーともマウスイヤー(本日はバクテリアイヤーなる言葉も出た)とも言われる情報分野では、半年後にどうなっているかなんて予測もつかないといえばつかない。まして30年後なんてなおさら。


聴衆としては、わざわざ貴重な休日をつぶして出かけていくからには、披露されるロードマップに期待しないほうがおかしいとは思いますが、IT分野で30年のロードマップというお題自体があまりに非現実的だと思っていたので、自分としては特にそんなに期待していませんでしたし、ちらっと見せられたロードマップに別にがっかりもしませんでした。

ただロードマップを語る資格というようなことを考えると、10年間のロードマップなら10年後まで現役の研究者でばりばり活動しているつもりの人、今回のような30年ものなら、30歳-35歳くらいの若手の人に語ってもらったほうが面白かったのではないかと思います。こういっては悪いですが、現状に対しては、まさに今回ロードマップを語ってくれた先生方にはアカデミア側の責任があるわけですし、また30年後にはこの世にいらっしゃらないとすると、何を言っても許されるという感じになってしまいますから。

No:117 2010/03/08 22:53 | kameichi #- URL編集 ]

Re: 30年のロードマップを語る資格?

kameichiさま

コメントありがとうございます。

> ただロードマップを語る資格というようなことを考えると、10年間のロードマップなら10年後まで現役の研究者でばりばり活動しているつもりの人、今回のような30年ものなら、30歳-35歳くらいの若手の人に語ってもらったほうが面白かったのではないかと思います。こういっては悪いですが、現状に対しては、まさに今回ロードマップを語ってくれた先生方にはアカデミア側の責任があるわけですし、また30年後にはこの世にいらっしゃらないとすると、何を言っても許されるという感じになってしまいますから。

青山氏が以前、別のシンポジウムで話されてました。

「何十年か後に居なくなる私達より、若い人たちに盛り上げて欲しい」と。

世代交代は大きな課題なのかもしれませんね。

No:118 2010/03/12 18:25 | M322 #- URL [ 編集 ]

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