スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--/--/-- --:-- | スポンサー広告  TOP

事業仕分けに必要だったのは科学コミュニケーションなんかじゃないよね

計算


行政刷新会議の事業仕分け第二弾が終わった。

 >行政刷新会議HP

第一弾に引き続き科学技術分野の予算にメスが入った。

自分に関係の深い情報分野や博物館関連の独法も仕分け対象となっていたため、
どちらかというと仕分けられる側目線で中継を眺めていた。

全般的に、前回と比較して混乱が少なく進んでいたようにみえる。

これは仕分け人側のファシリテーションによるところが大きい。
議論の方向を、事業の目的(科学技術の重要性)の良しあしではなく、手段の効率性に持っていった。

また、組織のガバナンスに直接関わる理事長が説明員の中心だったことも、説明に詰まる場面が少なくなった要因の一つであろう。

しかしながら、それでも議論かみ合わない場面は何回かあった。

原因はいくつかあるが、特に気になったのは説明員側の準備不足。
科学コミュニケーション不足とかプレゼン力不足とかなんとかとか、
それ以前の問題。


かみ合わない原因の一つは、説明員が相手(仕分け人)の言葉を使って説明できていなかった点。

入ってくるお金(税金)をどう効率的に使うかを議論しているのに、数値的根拠を示せない説明員が多かった。


たとえばこれ。

 >光より速い通信技術の登場?(Geekなページ)

事業の内容や研究の特性を理解しない仕分け人のトンデモ発言とか耳にすると、
そりゃないよね的な感情もフツフツと湧きおこったし、
仕分け対象事業である「新世代ネットワーク」の説明を原口ビジョンの『光の道』に絡めて”光”に特化したところは、複雑な研究内容を伝えるには上手い戦略だったと思う。
(「新世代ネットワーク」は”光”以外にも研究テーマは複数あり、その中にはかなり野心的なものもある。とてもじゃないが専門家でなければその内容はすぐには理解できない。)


そんな中、数値の説明が決定的に不足していた。


まず自分の組織に使われている金額がでてこない。

なにも職員一人一人の交通費までを示せと言っているわけではない。
役員の給与はいくらなのか、職員の給与ベースはいくらなのか、
他機関と比較してどうなのか、
間接費の割合は、今まで投入した額、投入した先、回収できた金額。


ごくごく当たり前の数字が出てこない。
(仮にあっても出せなければないのと同じ)


また、議論される金額は、ほとんど総額ベース。

一人の理事に全ての予算を支払っているわけではない、
XXX億円に対して、延べ何人投入して、一事業あたりいくらで、そのうち外部にいくら払って・・・。

全体額をブレークダウンしなければ、金額の多寡は判断できないはず。


総額、平均、単位当たり。
数値を示すときの基本。


そして、一番難しい将来の需要や波及効果の予測値。
基礎研究やインフラ技術がどう化けるのか予測がつかないのはしょうがない。

ただ、予測がつかないのと数値化できない(しない)ことは別である。

もっと言えば”数字は作れる”。

企業だって先が見えない中で計画を立てる。

投資家向けには夢の数字を踊らせ、
銀行融資向けには堅実な数字を積み上げる。
自社内向けには楽観/悲観/中間値を算出する。

伝える相手に合わせた数字の見せ方がある。


相手に科学リテラシーを求める前に、相手の言葉で話す努力をしなくては。


提示する数値に納得してもらえなければ、どんなすばらしい事業であろうとも相手にしてもらえない。
口をあけていても”人””モノ””カネ”は降ってこない。


リソースを出す側は、判断を下す根拠を欲している。


いくらその分野の重要性を感じていても、感覚だけでは、仕分け人も”拡充”とは言えないだろう。


説明員からしてみれば、

「数字ちゃんと出してるじゃん」

的な感覚があったのかもしれないが、数字の中身が見せられなかった。


枝野氏が著書で述べている通り、

”事業は必要だと主張するほうに立証責任がある”

 >事業の立証責任 - 書評 - 「事業仕分け」の力(404 Blog Not Found)


現場の研究員一人一人にそんな説明責任を課す必要はないが、
少なくとも交渉のテーブルに立つ上の方には隙の無い数値を見せて欲しい。


有名どころのシンクタンクもついているはずなのに。
天下ってきた元官僚がいるなら得意な分野のはずなのに。
なぜに積み上げられなかったのか。


不思議。
そして残念。


もう少ししたたかな交渉をやって欲しいものである。

科学技術サポーターとしては切に願う。



ある場面においては
科学技術のすばらしさを伝えるだけでは駄目なんだよね。
自戒も込めて。



関連エントリー

「役に立つことを主張するネットワーク研究の危険性」

伝える状態をつくる
わかり易い研究をどう届けるか
「デジタルジャパン」戦略に想う。伝わる仕組みの重要性。
「経営者」に伝わる科学技術
「伝える」のではなく「伝わる」

なんとかリテラシーは誰のため?

「科学技術と社会の相互作用」第2回シンポジウムに半分だけ参加してきた(備忘録)
21世紀の科学技術リテラシー第2回シンポジウムに参加してきた(備忘録)
「合理的無知」とサイエンスコミュニケーション

 その1.プレゼン極意(学術編)
 その2.プレゼン極意(ビジネス編)
 その3.プレゼン技術(話し方・伝え方)
 その4.プレゼン技術(資料作成術)
 その5.プレゼン技術(ツール・素材)

関連記事

2010/04/30 12:15 | サイエンスコミュニケーションCOMMENT(4)TRACKBACK(1)  TOP

コメント

全くその通り

まさに、交渉術の欠如でしたね。

シミュレーションした範囲外の質問が出てきたとも思えなかったので、
「やる気が無い」としか言いようがないですね。

官僚得意のサボタージュなのでしょうか?

テレビ放送だという意識、認識の差が仕分ける側と仕分けられる側に大きいと感じました。

No:126 2010/04/30 12:56 | 若だんなat新宿 #- URL [ 編集 ]

今回の「仕分け」は、出来レースの感が強い。
4日間で「事業廃止」となった36事業を合計しても、国費はたった52億円。
独立行政法人全体では3兆円以上なのに。
規模が小さくて、削っても痛くない事業を選んで「廃止」と判定した感じ。
おそらく「プレ仕分け」なるもので、話がついていたのだろう。
それが見抜けずに、おもしろがっている視聴者が多いのにはあきれましたが。

No:127 2010/04/30 19:22 | ゆうくんパパ #- URL [ 編集 ]

Re: 全くその通り

なるほどサボタージュですか。
それは困りますね。

今回の研究独法の理事長の方々は、研究職出身が多く、
たんなる中抜きでその席にいるのではなく、
研究推進のために動かれているように感じます。

数字を抑える事務方理事の方が数字を上げられない(上げない?)のが問題かも。

No:128 2010/05/02 23:47 | M322 #- URL [ 編集 ]

Re: タイトルなし

出来の悪い出来レースですね。

> 今回の「仕分け」は、出来レースの感が強い。

No:129 2010/05/02 23:48 | M322 #- URL [ 編集 ]

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

2010/06/12 | 海の研究者 |

事業仕分けと科学コミュニケーション(2)

時間が空いてしまった上に、総理大臣も変わってしまったが、 事業仕分けと科学コミュニケーション(1)の続きである。 前回の記事末尾では「事業仕分け人には、科学技術の専門家をもっと加えるべきだ」 と述べたが、書きながら本質はもっと別にある気がしてきた。 理系白

 | BLOG TOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。