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必要な科学リテラシーは「科学社会学的なリテラシー」

迷路のなかのテクノロジー

迷路のなかのテクノロジーH.コリンズ/著 T.ピンチ/著 村上陽一郎/訳 平川秀幸/訳』


科学技術社会学の分野の本である。


しかしながら、この手の話でよくみかける、

「硬直的な政府と一般市民との対立」
「融通の利かない専門家達と非専門家の感情的対立」
そうした対立の溝をコンセンサス会議やワークショップを重ねて埋めていく。
という類のものではなく、

どちらかというと専門家(もしくは技術者)同士の対立がリアルに描かれている本。
※6章、7章は非専門家も加わる。



どの章も、誰が良い悪いとか、ではどうすればベストだったのだとか、
そうしたことは書かれていない。

一般的に知られている科学的事象や主張の背後には、
技術者の矜持、ビジネス上の思惑、政治的な駆け引きなど、
実にさまざまなパラメータが複雑に絡み合っていること、
イエスともノーとも言えない現状があることを、
7つのケーススタディでみせていく。

図や写真入りの丁寧な技術説明があり、
それぞれの分野の技術的素養がなくても理解できるようになっている。

目次
1章 鮮やかな撃墜?―湾岸戦争におけるパトリオット・ミサイルの役割
2章 裸にされた打ち上げ―チャレンジャー号爆発の責任を帰すこと
3章 衝突!―核燃料容器と霧散防止ジェット燃料の実験
4章 ゴールドの世界―石油の起源を巡る論争
5章 快適さと歓びの知らせ―七賢人と経済学
6章 子羊の科学―チェルノブイリとカンブリア地方の牧羊農夫たち
7章 アクト・アップ―エイズ治療に貢献する素人の知識


3.11の震災を境に(とりわけ原発や放射能被害に関して)、
各々の法則や要素技術そのものを知っておくことも大事だが、
誰が知っているか知っておくこと、
そしてその人の言っていることが信頼に足るかを判断するために、
平時の振る舞い・コミュニケーションが大事だと改めて教えられた。

 >「サイエンスコミュニケーションの広がり」は身近なところから

さらに本書では、トランスサイエンスな事象に対するまた別の視点を与えてくれる。

科学リテラシーの一つとしての「科学社会学的なリテラシー」。

複雑に絡まる背景を認識し、複眼的に物事を判断し、都度、折り合いをつけるリテラシーを身につけていくことの必要性を伝えている。


なお、訳者は『安全と安心の科学』の村上陽一郎氏と、
科学は誰のものか―社会の側から問い直す』の平川秀幸氏


少し長いが、訳者代表である平川秀幸氏のあとがきの一部を転載しておく。

『「科学・技術の成果が日常生活の隅々に浸透した現代では、その恩恵と危険について的確な判断ができるように、専門家以外の人々も科学・技術の関する何らかのリテラシー(素養)を身につける必要がある」としばしば言われる。しかし一般の人にも関わりのある環境問題に限っても、関連する専門分野は多様であり、いったいどの分野のどんな知識をどれだけ身につければ、「的確な判断」を下すのに十分なリテラシーなのかを定めることは難しい。そもそも科学・技術が一般市民の関心を呼び、市民が何らかの判断を迫られるのは、遺伝子組み換え食品の安全性論争のように専門家の見解自体が分裂しているときであり、「何が的確な判断なのか」自体が揺れている場合が多い。そんなときに必要な科学リテラシーとは何なのか。その答えの一つとして「科学社会学的なリテラシー」を一般読者に向けて示すことが本書と前著の目的である。(中略)しばしば科学リテラシーをめぐる議論は「DNAとは何か」、「仮設の検証とは何か」といった知識や方法論をどれだけ人々が理解しているかという話題に終始しがちだ。しかし、そうした知識が本当に市民にとって意味のある生きた知識になるには、科学や技術の成果が生み出され使われるプロセスを、その社会的背景も含めて理解し、疑いを持つことができるような科学技術社会学的な洞察力や、専門家によるさまざまな市民支援サービスが必要なのである。』





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『科学は誰のものか -社会の側から問い直す-』
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