ワクワク研究展示のショーケース『企画展 バイオロギング -動物目線の行動学 -』

バイオロギング展ポスター


東京は上野の国立科学博物館で開催されている企画展

 『バイオロギング -動物目線の行動学-

を見てきた。

バイオロギングとは動物に取り付けた超小型の記録計をつかって、
普通の観察が難しい動物たちの隠された生活ぶりを明らかにする研究手法。
「生物(bio)が記録(logging)する科学(science)」

その最新の研究成果を知ることができる展覧会。

小さな企画展ながらも、そこにはワクワク感を醸し出す
研究展示のエッセンスがぎゅーと凝縮されている。
キーワードは「アイキャッチ」「動態・映像」「実物」「体感」
「可視化」「ストーリー」「比較」「ヒューマン」「マンガ」

研究者の熱い想いが伝わる展示手法がいっぱい。

●アイキャッチ
バイオロギング展 (1)
入口を覗くとどどーんと鎮座する大型のはく製。
なんだなんだと会場に入ると。

バイオロギング展 (2)
でけぇー・・・。
『ミナミゾウアザラシ』
まずはここで引き込まれる。

●動態・映像
アザラシの後ろにも動物達のはく製がたくさん。
バイオロギング展 (4)
どのような動物が観察対象になっているのか一目で理解できる。

そして、そこには剥製の間をくるくるまわるウミガメが・・・。
バイオロギング展 (6)
動くものには自然と目が行くにが人間というもの。
なんとカメラをつけたカメのしたにはお掃除ルンバ。
はく製たちの間を動き回るカメ目線の映像をリアルタイムで会場の画面でみられる。
バイオロギングを使った「動物目線」をダイレクトに。

●実物
バイオロギング展 (28)
実際動物につけた歴代のロギング装置。
技術革新により徐々に小さくなっていくのがわかる。
また傷がついていたり潰れていたりとハードな使用環境が目に浮かぶ。
実物ならではの迫力。

バイオロギング展 (19)
観察に使われるのはなにも最先端の機器だけではない、
アナログな道具を使いこなす研究者たちの知恵。
ペンギンへの識別番号つけには白髪染めを使うらしい。
一年で消えてペンギンにもやさしいとか。

●ストーリー
バイオロギング展 (9)
段ボール什器をつかったパネルはポップで楽しい。

フォーマットは統一されていて。
バイオロギング展 (16)

1)「キャッチーな題名」
2)「今までわかっていたこと」→ 一般の人でも知ってそうなこと。ふむふむ。
3)「疑問点(リサーチポイント)」→ 研究員ならではの視点。ほー。
4)「わかったこと(研究成果)」→ バイオロギングの効用。なるほど。
5)「研究者から一言」→ 研究者への親しみ。
6)「動物から一言」→ 観察対象への親しみ。

ひとつひとつの研究がストーリとして頭に入ってくる。

●可視化
バイオロギング展 (11)
水の中では音の観察が欠かせない。
イルカやクジラなど音で「見る」動物達がいるからだ。

そんな音を「見る」とはどのような方法なのか。
ソナーと音階を使った「可視化」装置で一目瞭然。

●体感
バイオロギング展 (15)

いまやゲームに欠かせない加速度装置。
その加速度装置をつかって動物たちの「動き」を測る。
ここでは、イルカ?の尻尾を疑似った体験型装置「どうぶつリズム」を使って、
加速度記録計の働きを体感できる。

バイオロギング展 (21)
めったに触ることのできないペンギンの羽を触ることもできるよ。

●比較
バイオロギング展 (17)

マンボウって妙な形をしているけど、こうしてみるとペンギンと、
泳ぎ方が同じなんだねってのがよくわかる。
この比較展示には目から鱗。

●ヒューマン
バイオロギング展 (24)
通常は謝辞と一緒に名前が載るだけの研究室にもクローズアップ。
協力している研究室の紹介文(というよりアピール)が並ぶ。
バイオロギング展 (25)
特に面白いのが『魅力分析チャート』
各研究室が勝手な項目をつけて勝手に★をつけている。
「うまい魚が食える率」やら「おしゃれ度」、「就職率」などなど、
いずれも研究室の『顔』が浮かび上がってくる。

バイオロギング展 (22)
モデルを使わず敢えて素の研究者を使うところが粋。

●マンガ
バイオロギング展 (26)
全体を通じて展示を親しみやすくしているのはこの二人の力かも。
随所に現れる二人のイラストが子供も大人も飽きさせない。
単なる写真とグラフと文のパネルではこうはいかないだろう。


研究のワクワク感を醸し出すのために参考になる展示
小さいとはいえ研究成果発表展示でこれだけのスペースと
リソースを確保することは厳しいとは思うが、
何か一つでも取り入れて試してみるのもいいだろう。


もちろん展示内容自体、大人も子供も楽しめてお勧めです。
常設展示料金で入場可なのもうれしい。

 会期:~2012年3月4日(日)
 場所:国立科学博物館 日本館1階企画展示室(東京・上野)
 URL:http://www.kahaku.go.jp/event/2011/12biologging/



なお、本展示の内容は科博の情報誌『milsil』の最新号にも、
詳しく載っているでの、展示を見た後、ショップで購入してはいかが。
(注:ステマではありません)
milshil_no25.jpg


さらに、研究者達の生の声を聞ける講演会が2月にあるようだ。

バイオロギング研究最前線2
日時:2012年2月11日(土・祝)13:00~15:30(受付開始12:30~)
場所:国立科学博物館 日本館2階 講堂
URL:http://www.kahaku.go.jp/event/2011/12biologging/event.html
内容:1.「時間を守るオオミズナギドリ」
     塩見 こずえ
     (東京大学 大気海洋研究所 博士課程3年)
   2.「深海のハンター マッコウクジラの謎にせまる」
     青木 かがり
     (東京大学 大気海洋研究所 特任研究員)
   3.「ウミガメはクルクル回って方向修正」
     楢崎 友子
     (東京大学 大気海洋研究所 特任研究員)
   4.「誰と一緒に泳ぐ?相手を選ぶスナメリ」
     酒井 麻衣
     (東京大学・生命科学ネットワーク 特任助教)
   5.「女性がフィールドで活躍するための条件」
     佐藤 克文
     (東京大学 大気海洋研究所 国際沿岸海洋研究センター 准教授)


複数の媒体を活用した立体的な研究発表は博物館ならではですね。

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.30 2012 展示 comment0 trackback0

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