SROIによるサイエンスコミュニケーション活動評価の可能性

投資

SROIとは。

社会的投資収益率(social return on investment)のことであり、
1990年代末から2000年代初頭にかけて米国で開発された
社会的インパクトの定量評価手法である。

会計におけるROI (return on investment)の、
ソーシャル版と言えばよいだろうか。

先日参加した日本評価学会で知った評価手法。

サイエンスコミュニケーション活動に対する評価にもつかえるかもしれない。


プログラム評価、エピソード評価、セオリー評価
数字にしにくい活動を評価する手法はいままでも研究されてきている。

アウトプットよりアウトカム、
さらにインパクトを評価していく点においてこれらの評価手法は、
短期的効果が見えずらい科学技術や科学技術コミュニケーション活動を評価するのに有効に思える。

しかしながら、どうしても作りこまれた評価、抽象的な、
悪く言えば希望的観測的な評価に見えて、
事業仕分け的に経済効果を執拗に追及される場面では、
どうしても突っ込みどころ満載なことになってしまうことは否めない。

その点、SROIは投資対効果にフォーカスした手法であり、
最終的に貨幣換算できる点において、数字に説得力があり効果がわかり易くなりそうだ。
(もちろん貨幣換算が良いかという議論もあろうが、
 その活動自体に少なからずお金がかかるのは事実)
また、ステークフォルダーの関与を、前提条件の中に組み込んでいるのも特徴である。
ステークフォルダーが評価のプロセス関与することにより、
算出される社会的価値についての共有認識が生み出されることが期待される。
この点は貨幣価値云々抜いても素直に有効な点ではないだろか。

SROIについてその歴史、手法、事例についてはこちらに簡潔にまとめられている

ソーシャルイノベーションの加速に向けたSROIとSIB活用のススメ(NRI)』(pdf)

SROIは、事業によって創出された社会的価値を貨幣価値に換算した結果と、
その価値を創出されるために投じられた費用とを比較することで算出する。

「投じられた費用」は人件費等の事業経費として。
「貨幣的価値換算された社会的価値」とは、
科学技術にあてはめれば、
例えば、
 ”当該科学技術によって効率化され抑えられた人件費”
 ”削減できた災害対策費”
などになるだろうか。

さらに、科学技術コミュニケーション活動にあてはめれば、
 ”リテラシー涵養活動の結果、誤った行動による経済的損失を回避した分の貨幣価値”
 ”対話型ワークショップ開催による、意見対立の時間短縮によるタイムリソース削減効果”
などが考えられる?

この辺は、SROIのロジックモデルの概念に基づいて、
深堀していく必要があるだろう。
方法について詳しくは上記のリンクを参照されたい。


先の学会セッションの終了後に、発表者の方にお話を伺ったところ、
RISTEXの『科学技術イノベーション政策のための科学 研究開発プログラム』の中で、関連する研究が既に薦めれられているとのこと。

Webで調べた感じでは、玉村 雅敏(慶應義塾大学 総合政策学部 准教授 )がリーダの

『科学技術への社会的期待の可視化・定量化手法の開発』だと思われる。

HPによると

「本プロジェクトは、社会課題解決に関する国民の社会的期待を可視化する手法や、科学技術が社会にもたらす変化や受益者に対する便益を定量的に評価する手法といった、科学技術への「社会的期待」を可視化・定量化をする手法の開発に取り組む。」

とのことで、SROIの展開もスコープに入っているようだ。
引き続きウオッチしていきたい。



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.23 2012 サイエンスコミュニケーション comment0 trackback0

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