引き継がれる国芳の魅力 「はじまりは国芳-江戸スピリットのゆくえ-」

はじまりは国芳


横浜は横浜美術館で開催中の

 「はじまりは国芳 -江戸スピリットのゆくえ-

に行ってきた。

「奇想の画家」と言われた歌川国芳の作風が、その一門や系統にどのように受け継がれていったのか。江戸末期から昭和期の日本画、油彩画、水彩画、版画、刊本などの作品、資料を通して探る一風変わった系統展示。



 

勇国芳桐対模様
《No81 勇国芳桐対模様(歌川国芳)》

粋な江戸っ子らしい親分気質だった国芳。絵師として卓越した技量だけでなく、その人柄に魅了されただろう門下生は70数名にも及んだとのこと。(上図絵の左端が国芳)

会場には『国芳相関図』が大きく掲示してあって、
様々に枝分かれて昭和初期までつながっていく系譜を見渡すことができる。
(相関図のコピーも配布されているので興味ある人は忘れずに)

その系譜は、いわゆる浮世絵から日本画になり油絵まで達する。
一旦遠ざかったかと思いきや最後にまた国芳を思わせる作風に戻る感じが興味深い。
国芳らしい藍色と橙色のグラデーションが昭和初期の作品にも現れていた。

驚いたのは外国人までその系譜に含まれていたこと。

ポール・ジャクレー
《No237 オウム貝、ヤップ島(ポール・ジャクレー)》

オウム貝にハイビスカス。
題目は南国そのものだけど、多色木版の色使いは確かに国芳風。
このポール・ジャクレーは月岡芳年から水野年方を経て池田輝方・蕉園とつながっているらしい。

変わったところでは、平木政次という水彩画家の作品。
国立科学博物館に収められている動物の鳥類や魚類の写生図である。
こんなところまで国芳の影があるとは驚き。


国芳直系の弟子達の浮世絵作品比較も面白い。
師匠の作風を引き継ぎながらも全員どこか違うが、国芳が描く水滸伝的な力強さを引き継ぐグループと美人画ののっぺり感を引き継ぐ大きく二つのグループに分かれているように感じた。
同じ題材で書かれた国芳と弟子の作品を並べた比較展示もあり。


もちろん国芳や芳年の作品も多い。

鯨退治
《No12 宮本武蔵の鯨退治(歌川国芳)》

入口入るなりいきなり迫力の鯨。
森アーツセンターの「没後150年 歌川国芳展」でみた鯨がまたみられるとは。
続く作品も《No10 鬼若丸の鬼退治(歌川国芳)》や水滸伝シリーズなど厳選された作品が並ぶ。

本朝水滸伝剛勇八百人一個鷺池平九朗
《No8 本朝水滸伝剛勇八百人一個鷺池平九朗(歌川国芳)》
この蛇の血走る眼は必見。

国芳の作品は弟子の弟子たちが描く日本画や洋画の横にも展示され、
その確かなつながりを確認できるようになっていた。


系譜を追いながらも国芳の魅力を再認識する展示。

国芳や芳年を見に行くのもよし、
系譜を学ぶのもよし、
こんな機会はまたとない。

1月14日まで。

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はじまりは国芳

はじまりは国芳 ―江戸スピリットのゆくえ
会期:2012年11月3日(土・祝)~2013年1月14日(月・祝)木曜定休 12月29日(土)~1月3日(木)休館
会場:横浜美術館(神奈川・みなとみらい)
概要:国芳の系脈に連なる画家たちの幅広い展開を、4章立て約250 点でたどる
URL:http://www.yaf.or.jp/yma/exhibition_web/100/

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2013/01/06 10:05 | 展示COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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