「無料交換してくださればいいのにって」発言に唖然としながらもテクニカルコミュニケーション再考。

Windows XP

WindowsXPのサポート終了について報じた報道番組を視た。
メインキャスターの「なんだか脅されてる気がしますね」発言にもゲンナリしたが、続くサブキャスターがぼやいた言葉には唖然とした。

「無料交換してくださればいいのにって思っちゃうんですけどね」


当然のことながら、この発言に対してネット上では批判の声が溢れた。



報道ステーションの小川彩佳アナがマイクロソフトに最新OSを無償提供すればいいのにと発言して炎上(NEVERまとめ)

ただ、これはあくまでネット上の話で、
「なぜコストをかけてまで更新しなくてはいけないのか」と
疑問を抱えている人たちはそれなりにいるのだろうと想像する。

件の発言も、彼女の個人的な気持ちではなくて視聴者の声の代弁だったのかもしれない。
(そう思いたい)

本発言に対するネット上の批判は、保守にかかるコストを無視している点に論点が集中している。
これらの批判のベースには、今のソフトウェアには継続的な保守が必要であり、それには相応のコストがかかるのだという共通認識がある。
保守はコールセンターで行うような、問合せに対するヘルプ業務だけではなく、ソフトウェアの更新やソフトウェアが動作する環境の整備が大きい。
だからこそ、もうそろそろマイクロソフトがXPのサポートを切ってもいたしかたなしとの考えに及ぶ。


しかしながら、見た目には壊れたり腐ったりしないソフトウェアなのに、そもそもなぜそれに保守が必要なのか、一般的には分かり辛いのだと思う。


コストや負担の所在うんぬんの前の話なのだ。


これが、ハードウェア、目に見える装置だったらもう少しコトはスムーズにいくだろう。

数年使った物が、錆びたり、ひびがはいってしまったらああ交換しなくちゃなと考えるし、なにか危険だと認識したら自分から修理する。

また、見た目には分からなくても環境が変われば交換する場合もある。

例えば玄関の鍵。
10年前くらいだったかサムターン回しが横行した。
また、ディスクシリンダー型の鍵がピッキングに頻繁に狙われた時があった。

「いま設置されている旧式の鍵では簡単に空き巣に入られてしまうので、
最新のシリンダー錠に替えてください。付け替え費用はいくらいくらになります」と不動産屋に言われ、賃貸にしろ持家にしろ、大抵の人は交換に応じたはずだ。

数年前には予測できなかった新手の手口に対応した鍵を設置しておくことなど不可能だし、新型に無償で交換せよとはあまり言わなかったと思う。

脅威と脆弱がそれぞれ何であるか(鍵で言えば脅威=新手の施錠手口、脆弱=旧式の鍵)が理解できるからこそ、対策に前向きに取り組めるわけだ。



実は、かかる状況としてはソフトウェアも同様で、(というよりとりまく環境が変化するスピードはむしろ早い)使われる環境に対応した修正は不可欠なのである。
例え、ある程度の変化に対しては予測の上で作られてていても。


ソフトウェアの鍵穴に向かっては、常に攻撃がしかけられている。
鍵穴を直しても、今度は鍵穴以外の場所から侵入される。
毎日のように新手の施錠方法が試され、もっと頑丈なものに取り買えないと、防御すら覚束なくなる状態。
ソフトウェア自体は劣化しなくても、環境が変化することにより、相対的に劣化していくことになる。

XPが販売されたのは十数年前。
環境はめぐるましく変わっている。


「ソフトウェも環境により経年劣化する」のだ。


でもこの辺りのことが腹落ちするには、
ソフトウェアがどんなもので、
それが動作するハードウェアはこんなもので、
さらにハードウェアがつながっているネットワークはどんな世界なのか、
そうした知識はベースとしてどうしても必要になってくる。

以前、書いたように、リテラシー教育はどうしても避けられない。

トランスサイエンスのコールセンターはどこに?(もやもや一考察)

ただ、ソフトウェアを取り巻く環境の進化は速い。

理解のためのコストを抑え、納得へのショートカットのために、仕組みをわかり易く伝えることはますます大事になっていくだろう。


だらだら書いてきて、最後は別に新しいことでもなんでもなくなったが・・・。


ここのところなんとなく距離をおいていたテクニカルコミュニケーションについて、久しぶりに考えさせられた。


excape from XP

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2014/04/20 18:12 | テクニカルコミュニケーションCOMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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