コミュニケーションに忘れがちな視点 ジョハリの窓

高齢者とのコミュニケーション

高齢者とのコミュニケーション―利用者とのかかわりを自らの力に変えていく

相手があってのコミュニケーション。
相手の反応、相手の心理的状態を慮るのは良好なコミュニケーションをはかるために当然のこと。

ただ、それで頭がいっぱいになってつい見失しなってしまうことがある。



それは相手の相手たる自分自身だ。

介護がらみで読んだ『高齢者とのコミュニケーション―利用者とのかかわりを自らの力に変えていく』には、コミュニケーションにおいて己を知ることの大事さが書かれている。

情報の非対称性下での双方向性を求められるサイエンスコミュニケーション的な場面にも役に立ちそうな興味深い話が沢山詰まっていたのでメモしておく。

コミュニケーションにおいて、相手は、他者が自分に対してどこまで自己を開示しているかを感じとって行動するという。

自分自身に関する情報を自分の意思で(強制されることなく)特定の他者に対して伝達することを自己開示といい、コミュニケーションでは、自分自身について理解すると同時に、自分のことを相手にどれくらい開示するのかを考えることが大事になってくる。

そして自己開示のためには、自分自身について知り、コントロールできる素地をもっている必要がある。「自分は何者なのか」という自己概念、価値観(ここでは個人的な価値観、専門職としての価値観含む)、生きがい、性格などに目をむけて自分自身を客観的にとらえ直さないといけない。

自分のポジションを明確にした上で、自己開示の範囲をコントロールするのだ。

適切な自己開示が、どう相手に影響を与えるのか、本書は『ジョハリの窓』というフレームを紹介している。

”『ジョハリの窓』は、自分自身の心全体を一つの窓枠として想定し、「自分自身が知っているか」か「知らない」かで縦方向に二分される。さらに「他人が知っているか」か「知らない」かで横方向に二分される。自分の心の全てを表す窓枠が4つの小さな窓に分割されていることになり、4つの小窓をそれぞれ①開放部分、②盲点部分、③隠ぺい部分、④未知部分と呼ぶ。”



Johari_window.jpg
   (CC BY-SA 1.0)

“この4つの窓は、一人ひとり大きさも開き方も異なる。また、相手の窓の大きさや開き方によっても変化する。だから、自分の「心の窓」つまり自己開示がどのような状態になっているか、知っておくことが大切となる。”


自分が適切に自己開示しているかどうかを判断するには、開示する量、深さ、時、人、状況の5つの基準が考えられる。人は無意識のうちに、それぞれ自分の基準に基づいて自分や相手の開示が適切か、適切でないかを判断しているという。

確かに、意識的であれ、無意識であれ、相手の自己開示度は、受け取る自分側の態度に少なからず影響を与えていると思う。

一般的には、とても私的な内容(深さ)の情報を、多く(量)、限られた人に対して(人)開示した場合には、対人関係にあまり問題はおきないとされ、一方で、多くの人に対して、深すぎたり、多すぎたりする情報を開示したり、反対に浅すぎたり、少な過ぎる情報しか開示しなかった場合は、対人関係が難しくなる傾向があるらしい。

たいして親しくもないのに、しゃべりすぎだと、信用ならんと感じるのもこのせいだ。
どうせ理解できないだろうと、必要な情報を端折る説明も、やはり受け入れがたい。

相手との関係性や距離感を見据えて、自己開示をコントロールすることが肝要となる。

作者は
“どのような障害があっても、またいくつになっても自己開示の基準を選択できるような、さまざま場や時、関係性などの存在を整えることがより重要なのではないかと思います。”
と書いている。

相手だけを見ていては駄目で、相手に見えている自分、相手が捉えてる自分を見る視点が必要だということ。

本書では、他にも、コミュニケーションの無自覚な強要についての弊害についてや、語りを引き出すケア、ナラティブ・ケアの解説があったりと、単に高齢者とのコミュニケーションにとどまらず、もっと広い範囲のコミュニケーションに応用できる話が多く書かれているので、サイエンスコミュニケーションの様々な場面で、相手をことを一生懸命考えて『伝えている」のに「伝わらない」と悩んでいる人は一度、目を通してみるといいかもしれない。

○目次
1 コミュニケーションについて学ぶ(コミュニケーションとは
 介護におけるコミュニケーションの考え方
 コミュニケーションの「得意」「不得意」について ほか)
2 自分自身について理解する(自分のコミュニケーションの傾向を知る
 自分自身を知り、適切に開示する
 自分の感情に気づき、認める ほか)
3 高齢者とのかかわりについて考える(高齢者(利用者)を理解するとは
 信頼関係を形成するために
 高齢者の「察する力」「共鳴する力」に学ぶ ほか)

いろいろあって介護や医療の情報に振れる機会が増えた、この世界のコミュニケーションノウハウは、勉強になることが多い。
スピリチュアリティな言説も多々あり、見きわめの必要があるが、その辺も含めて、旨い具合にサイエンスコミュニケーションとノウハウを共有できればなと思う。




  



関連記事
.01 2015 サイエンスコミュニケーション comment0 trackback0

comment

post comment

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://btobsc.blog25.fc2.com/tb.php/708-c7ebe761

プロフィール

k_2106

Author:k_2106
科学好き
博物館好き
魚好き


このブログ方針みたいなもの"

最近の記事

●全ての記事はこちら

フリーエリア

タグcloud

ブログ内検索

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード

コメント・ご質問はこちらまで

名前:
メール:
件名:
本文:

カウンター