彫師と摺師の凄技 「錦絵誕生250年記念 線と色の超絶技巧」

錦絵誕生250年記念 線と色の超絶技巧

東京は原宿にある太田記念美術館で開催中の

 「錦絵誕生250年記念 線と色の超絶技巧

を見てきた。

美しい絵柄はもちろん、彫師と摺師が施した凄技も、浮世絵版画の魅力の一つである。
絵師に隠れてほとんど表にでることがない二人の匠。
その彫師と摺師の技巧にスポットライトを当てた珍しい展覧会だ。



月百姿 鶏鳴山の月 子房(月岡芳年)
◎《月百姿 鶏鳴山の月 子房(月岡芳年)》「円活力」彫師 野口円活》

いつも感心していた彫師や摺師が織りなすその表現。

白地に浮かぶエンボス加工のような模様、
黒地に浮かぶ艶のある文様、
ベロ藍と朱色の美しいグラデーション、
数ミリ違わぬ細かい刺青の色の重なり、

勇の寿 三代目沢村田之助(月岡芳年)
《勇の寿 三代目沢村田之助(月岡芳年)》 映える刺青

本展ではそれらを生み出す技巧の数々が実際の作品ともに詳しく紹介されている。
ぼかし、正面摺、空摺、布目摺、きめ出し、雲母(きめ)引、相つぶし、などなど多彩な手法があることを教えてくれる。

”ほぅ”、”はぁ”、”おぉ”と思わず声がでてしまう作品多し。

東海道五十三次の内 戸塚駅 早野勘平
《東海道五十三次の内 戸塚駅 早野勘平(歌川国貞)》

中でも2Fの内側に設置された平面のケースに納められていた作品の摺技術が素晴らしかった。
ほとんど表に出てくることのない彫師や摺師の名前が書かれた作品もあり。
よほどの凄腕の持ち主だったのだろう。

浮世絵は安価に大量生産できる庶民のモノとの認識だったが、一部の好事家による一品注文的なものもあったらしい。
お金に糸目をつけない彼らからの注文品はコスト度外視。
職人達がこれでもかと自らの技を注ぎ込むことができた故に、超絶技巧が施された作品がでてきたのであろう。
金持ちパトロンに感謝だ。

気になった作品とメモ
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《風流諷八景 鉢木の暮雪(鈴木春信)》
《名所江戸百景 大はしあたけの夕立ち(歌川広重)》 雨の微妙な線の太さの差で遠近感を表現
《江戸名所百人美女 尾張町(歌川国貞)》
《浄瑠璃つくし おふさ徳兵衛 重井筒 井筒屋の段(歌川国貞)》 字は全て鏡文字で彫られている
《鮎(歌川広重)》 べろ藍 ぼかし
《源氏見立八景之内 紅葉賀ノ夕照 光氏(歌川国貞)》正面摺 黒の中に模様がうっすら浮き立つ お猪口で擦る
《八代目片岡仁左衛門の亀谷忠兵衛 我童(歌川国貞)》鮮やかな配色 グラフィックデザイン
《夏景色美人会(溪斎英泉)》 着物の白い模様が浮き上がる
◎《燕子花に白鷺(歌川広重)》 空摺
《やつし費長房(鈴木春信)》彫師 森下里朝 摺師 小川八調
《東海道五十三次の内 三島 おせん(歌川国貞)》 摺師 大海屋久五郎 黒地に模様が浮かび上がる
◎《 濤(加山又造)》
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微細な加工や微妙な色合いの違いは、写真ではなかなかわかりづらいから是非展覧会に足を運んでこの目で見たほうがいい。
前期後期でほとんどの作品が入れ替わるから、全部見るならお早目に。
前期は8月30日まで。

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線と色の超絶技巧展

錦絵誕250年記念 線と色の超絶技巧展
会期:【前期】 2015年8/1(土)~8/30(日)【後期】 9/4(金)~9/27(日)月曜休館 9月1日、2日、3日、24日休館 10:30~17:30
会場:浮世絵太田記念美術館(東京・表参道)
概要:錦絵誕生250年を記念して、浮世絵版画における超絶技巧のテクニックにスポットをあてた展示。
URL:http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/H270809chozetsugikou.html


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2015/08/28 22:30 | 展示COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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