東洋で南洋を描く西洋の浮世絵師 「ポール・ジャクレーと新版画」

ポール・ジャクレーと新版画 (1)

横浜美術館で開催中のコレクション展の一つ

 「ポール・ジャクレーと新版画

を観てきた。

横浜美術館が収蔵するジャクレー作188点から代表的な作品60点余りを蔵出し大開放な展覧会。



ポール・ジャクレーはパリ生まれの浮世絵師。
3歳で来日し、11歳ごろより浮世絵に関心を抱き、月岡芳年から水野年方を経て池田輝方・蕉園につながる歌川国芳の系譜に学び肉筆浮世絵を描くようになった。

 >引き継がれる国芳の魅力 「はじまりは国芳-江戸スピリットのゆくえ-」

ジャクレーを多数収蔵する横浜美術館以外ではあまり見かけることない作家。
だから今年の頭にたまたま見つけた日仏会館での大量展示には驚いた。

 >「漂泊の浮世絵師 ポール・ジャクレー」フランス人が愛した浮世絵に魅せられた。

そしてもうこんなに一気に見られる機会はないだろうなと思っていたら、今度は当の横浜美術館がやってくれた。

ポール・ジャクレーと新版画 (3)

普段は1つか2つか飾られないジャクレーがずらりと並ぶ様は壮観だ。

ポール・ジャクレーと新版画 (4)

ジャクレー特有のハイビスカスの匂い漂う怪しい目元の女性がいる南国浮世絵。
ポール・ジャクレーと新版画 (7)
《アンスリウムの花束、パラオ諸島アンガウル島》

極彩色でありながら浮世絵的なしみ込んだ色合い。
ポール・ジャクレーと新版画 (9)
《失恋、東カロリン諸島》

花鳥画だって南国風。サボテンの浮世絵がそれっぽい。
ポール・ジャクレーと新版画 (22)
《仙人掌、南洋》


日本国内も島や海岸を中心に周っていたらしい。
大島や伊豆の絵も多くある。

兄貴!
ポール・ジャクレーと新版画 (13)
《大漁祝、伊豆》

その独特の色遣いはアジアも彩る。
ポール・ジャクレーと新版画 (16)
《秘密の手紙》

ポール・ジャクレーと新版画 (17)
《真珠、中国東北地方》

ポール・ジャクレーと新版画 (18)
《ゴビの星、モンゴル人の女性》

日本人の浮世絵にも見られる超絶技法も織り込まれている。
ポール・ジャクレーと新版画 (21)

浮世絵研究の泰斗藤懸静也に、外国人をモデルに描いた水彩画に基づく多色木版画の刊行を勧められ、彫師や摺師と協働での版画制作を始めたらしいジャクレー。

職人達へのリスペクトを忘れない。
ポール・ジャクレーと新版画 (11)

ポール・ジャクレーと新版画 (12)

また、国芳の系譜がなせる術か、遊び心も持ち合わせていたようだ。

バラエティに富んだ落款が面白い。
ポール・ジャクレーと新版画 (20)

ポール・ジャクレーと新版画 (6)

ポール・ジャクレーと新版画 (10)

ポール・ジャクレーと新版画 (8)

魅力満載のポール・ジャクレーをこれでもかと楽しめる展覧会だ。

ポール・ジャクレーと新版画 (23)
《パリの夫人》

なお、本展覧会は「新版画」も一つのテーマとなっている。

「新版画」とは

“創作版画と並んで、日本近代版画における二大運動の一つ。一時衰退していた浮世絵の絵師、彫師、摺師の協働による制作工程を活かして多色木版の美しさを復興し、絵師の創作性に重きを置いて新たな時代感覚を盛り込むことによって、浮世絵の近代化を図った運動”(キャプションより抜粋)



新版画では川瀬巴水や伊藤深水が有名だが、
ポール・ジャクレーと新版画 (14)


今回、新たに「山村耕花」という作家を知った。
ポール・ジャクレーと新版画 (19)
《支那芝居 精忠伝星蠻龍》

ジャクレーを思わせる鮮やかな色彩に、大首絵のような大胆な構図に思わず二度見。

ポール・ジャクレーと新版画 (15)
《「梨園の花」勘弥のジャンバルジャン》  《段四郎の鉄心斎》


ポール・ジャクレーと新版画。
よくある浮世絵展示ではどちらも最後の方にチラリと飾られることの多い脇役的作品群がメインの珍しい展覧会。

2015年10月18日(日)まで。


ちなみに現在、横浜美術館でのあの火薬の芸術家「蔡國強」の企画展の開催中。
蔡國強
企画展チケットでコレクション展も見られるからジャクレーも是非覗いてみては。


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ポール・ジャクレーと新版画

会期:~2015年10月18日(日)
会場:横浜美術館(神奈川・みなとみらい)
URL:http://yokohama.art.museum/exhibition/index/20150711-455.html
出品リスト:http://yokohama.art.museum/static/file/exhibition/listofworks2015_2.pdf
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