初摺の魅力、ぼかしの技術 「広重ビビッド」

広重ビビッド (1)

東京は六本木のサントリー美術館で開催中の

 「原安三郎コレクション 広重ビビッド

を観てきた。

国内にも数セットしか存在しないと言われる貴重な「初摺」のコレクションの鑑賞に。

北斎と比べてぼやっとした印象が強かった広重の印象がビビッと変わった。


大量印刷によるコスト削減を目的に摺りの手数を簡略化した「後摺」と比較して、絵師と摺師の色彩や摺りのこだわりがでる「初摺」。
そのビビッドな色合いに加えて目を引くのがグラデーションの美しさだ。
濃いベロ藍から淡い水色へ、紅から白へ、天から地へ、地から天へ。
海、風、空に動きを与えるグラデーションを生みだしているのは「ぼかし」の技法。

広重ビビッド (2)

版木を濡らしてその上から絵の具をのせてぼかす絵の具の自然な広がりに任せた「あてなしぼかし」
絵の具を刷毛をつかってはいてぼかす「拭きぼかし」
ぼかす部分のみ版木の彫の角を落とした「板ぼかし」
地面からのグラディーション「地ぼかし」
上空からぼかす「天ぼかし」

こうした様々な「ぼかし」技法を堪能できるのが本展の一番の魅力だ。

そしてもう一つの楽しみは、浮世絵を鑑賞しながらのバーチャル旅行だ。

本展の作品は主に日本の名所を題材にした「名作江戸百景」および「六十余州名所図会」の2シリーズからなる。
各作品ごとに場所の地図表示と現在の写真が並べてあり、名所を時間と空間で立体的に巡ることができるようになっている。

知っている場所、これから行く場所、行ってみたい場所。
過去の情景に思いを馳せながら眺めるのも楽しい。

葛飾北斎の有名な富士山や貴重な「千絵の海」シリーズ、歌川国芳の作品もあり。

美しい浮世絵
目の保養に。

6月12日(日)まで。


以下気になった作品。

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《六十余州名所図会 美濃 養老ノ瀧(歌川広重)》
《六十余州名所図会 下野 日光山 裏見ノ瀧(歌川広重)》
《六十余州名所図会 越中 冨山 船橋(歌川広重)》
《六十余州名所図会 因幡 加路小山(歌川広重)》
《六十余州名所図会 出雲 大社 ほとほとの図(歌川広重)》
《六十余州名所図会 美作 山伏谷(歌川広重)》
《六十余州名所図会 周防 岩国 錦帯橋(歌川広重)》
《六十余州名所図会 阿波 鳴門の風波(歌川広重)》
《六十余州名所図会 壱岐 志作(歌川広重)》
《名所江戸百景 大はしあたけの夕立(歌川広重)》
《名所江戸百景 駒形堂吾嬬橋(歌川広重)》
《名所江戸百景 深川洲崎十万坪(歌川広重)》
《江戸百景餘興 芝神明増上寺(歌川広重)》

《千絵の海 総州銚子(葛飾北斎
◎《千絵の海 五島鯨突(葛飾北斎

《東都名所 佃嶋(歌川国芳)》
《木曽路之山川(歌川広重)》
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広重ビビット

広重ビビット
会期:2016年4月29日(金・祝)~6月12日(日)
会場:サントリー美術館(東京・六本木)
概要:広重が表現しようとした形や、生涯を通じて追い求めた色彩および彫摺技法の粋、保存状態が極めて優れている制作当初の「試し摺」に近い初摺の姿が鑑賞できる。
URL:http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2016_2/

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2016/06/05 02:00 | 展示COMMENT(0)TRACKBACK(0)  TOP

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