クラウドリスク 電子化のリスクその2

クラウド

以前のエントリーで、債券市場おける金融工学を駆使した電子化技術についてのリスクについて触れた。
 
 :「電子化というリスク」

リスクに対するユーザの意識が低いまま、その技術のプラス面だけが強調され、導入が次々と進んで行くと言う点で同様に気になっているのが、クラウドコンピューティング技術に関するリスク。

ソフトウェアエンジニアにとっては「クラウドコンピューティング」はそれほど目新しい技術ではない。だが、特にここ半年ほどで急激に「クラウドコンピューティング」に関する話題が増えて気がしている。

クラウドコンピューティングは電気を例に出して語られることが多い、電気も最初は発電所を自己保有しての自家発電が当たり前だった。
それが技術の発展により遠く離れた場所から運ばれるようになり、やがて家庭でもコンセントをさすだけでいつでも必要なだけ電力を得ることが出来るようになった。
同じようにいままで自己所有が当たり前であったITシステムが、デバイスをネットワークにつなぐだけでサービスがいつでも使いたいだけ使えるようになる。
必要なものはクラウド(雲) の向こうに全て用意されている。
こんな感じである。

なるほど、使うデバイス(家電やPC)だけ自己保有し、その他はインフラとして供給を受けるこのスタイルは判り易い。

しかしクラウドコンピューティングと電力供給システムは根本的に扱うものの性質が違う。

電気はどこにあっても同じもの。
クラウドコンピューティングは換えの効かないデジタルデータを扱う。

電気は見られても被害はない、突然止まっても途中で奪われても困ることはあってもマイナスにはならない。またそれがどこにあってもさほど問題にはならない。
反対にデジタルデータはどれも困ったことになる。
※データは個人情報であったり、機密情報であったり。

ここにクラウドリスクがある。

当たり前のことではあるが、この辺がすっとばされて、インフラサービスとしての利活用ばかりがクローズアップされている感がある。

インターネットに慣れ親しんでいる世代は既にクラウド的なサービスを使いこなしていたし、自社システムにこだわらないスタートアップ企業や一部の中小企業はASPやSaasといったクラウドの前進(もしくは類似する)サービスを活用していた。
(もちろん日本郵政のような巨大企業が米国のSaasを導入するような事例も存在するが、その後次々に導入が行われたかというと必ずしもそうではない。)

この辺のユーザはクラウドリスクを踏まえた上で、利便性とバランス取りながら、慎重に使ってきたように思える。

ただ最近は政治が「霞が関クラウド」と言い出したり、ビジネス系のシンポジウムでも「クラウド」のキーワードが頻繁に出るようになり、クラウドリスクに疎い層にも、クラウドの波が急速に押し寄せている。

 >総務相懇談会、ICT産業の市場規模倍増へ緊急提言
  JNet21

背景としては
「回線のブロードバンド(高速)化によるクラウドサービスの利便性向上」
という技術的な側面よりも政治的な面で、
政界とIT業界が「景気」と「環境」の旬な2大テーマにのる聞こえの良いアイテムとして口にしだしたことが大きいだろう。

例えば

・景気悪化に伴う経費削減 
 →クラウドサービスに乗せ換えれば経費削減になるよ。
・中小零細企業のIT底上げ 
 →中小企業も簡単にITを導入できるよ。
・新産業支援
 →ベンチャーの初期投資が安く済むよ。
・低炭素社会を旗印にしたエコシステムの提案
 →自社でのエネルギー消費が少なくなるよ。
・情報漏洩リスク対策(企業PCのシンクライアント化)
 →PCにデータを残さなければ安全だよ。
・新たなクラウドシステムという名のシステム構築
 →産業・雇用創出になるよ。


もちろん私自身クラウドの恩恵に預かっているし、クラウドの導入を否定するものではない。

先日開かれた「クラウドシンポジウム」の講演で京セラコミュニケーションシステムの佐々木氏が述べていたように、

「このように解決すべき課題が残るものの,佐々木氏は「クラウドの流れは
 不可避である」と考える。「物理システムをタンス預金だとすれば,クラウド
 は銀行のATMのようなものだ。どちらを信用するかという問題ではなく,
 今後,何らかの形で使うことになる」


 ITPro:[クラウド フォーラム]「まずはHaaSから始めよう」,京セラコミュニケーションシステムのICT事業統括本部長が講演


クラウドリスクを含有しながら活用していく方向になるだろう。

問題なのはクラウドリスクを意識しないまま、国や企業のリーダが突っ張しり、
ある日突然問題が発生してパニックになることである。
電子化はアナログのそれと違って障害の規模もスピードも比較にならないほど、甚大な被害をもたらす。

便利な技術・サービスほど一歩引いたリスクコミュニケーションの視点が必要。

クラウドリスクはまだまだ山積み。

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.01 2009 情報・通信 comment0 trackback0

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